アパートの一室がゴミ屋敷状態になり、「このまま放置して大丈夫なのか」「近隣からの苦情やトラブルが心配」「勝手に片付けたり、退去させたりできないのか」と不安を感じていませんか。
賃貸アパートのゴミ屋敷化は、入居者個人の問題に見えて、実際にはオーナーにも大きな負担やリスクが及ぶケースが少なくありません。対応を誤ると、近隣トラブルや資産価値の低下、法的な責任問題に発展するおそれもあります。
一方で、状況を正しく整理し、適切な手順を踏めば、トラブルを最小限に抑えながら解決を目指すことも可能です。
この記事では、アパートのゴミ屋敷化が増えている背景を踏まえたうえで、オーナーに生じるリスク、強制退去の可否、具体的な対応手順、原状回復費用や再発防止策までを、オーナー目線でわかりやすく解説します。
- アパートがゴミ屋敷化することで生じるリスク
- ゴミ屋敷化したアパートから住人を強制退去させられるのか
- ゴミ屋敷化したアパートの原状回復費用とオーナーが取るべき対処
アパートのゴミ屋敷化の現状

近年、賃貸物件におけるゴミ屋敷問題は、決して珍しいものではなくなっています。
実際、環境省の「令和6年度 「ごみ屋敷」に関する調査報告書」では、全国1,741の市区町村のうち、ゴミ屋敷を認知している市区町村は672と、全体の約38.6%にも及んでいます。

さらに、令和2年度~令和6年度におけるゴミ屋敷の認知件数は6,054件と、決して少ない数字ではないことがわかります。
このように、アパートのゴミ屋敷化は「誰の物件でも起こり得る問題」になりつつあるのが実情です。
オーナーとしては、「うちは大丈夫だろう」と考えるのではなく、起こり得るリスクの一つとして把握しておくことが、早期対応や被害拡大の防止につながります。
アパートがゴミ屋敷化するとオーナーに生じるリスク

アパートの一室がゴミ屋敷化すると、問題は入居者本人の生活環境にとどまりません。
周囲への影響や建物全体へのダメージが生じることで、結果的にオーナーが対応を迫られる場面が増えていきます。
ここでは、アパートがゴミ屋敷化した場合に、オーナーにどのようなリスクが生じるのかを、代表的なケースごとに整理して解説します。
近隣トラブル・苦情対応
アパートがゴミ屋敷化した際、最初に表面化しやすいのが近隣住民からの苦情です。
特にアパートのような集合住宅では、悪臭やゴミのはみ出し、害虫の発生などが原因で、「生活に支障が出ている」「不衛生で不安だ」といった声が管理会社やオーナーに寄せられるケースは少なくありません。
その結果、「オーナーとして何も対応していないのか」「管理が行き届いていない物件ではないか」といった不信感につながることもあります。
苦情が繰り返されると、管理会社との調整や説明対応に追われるだけでなく、他の入居者の退去につながる可能性も否定できません。
このように、ゴミ屋敷問題は単なる一室のトラブルではなく、アパート全体の居住環境や評価に影響を及ぼすリスクがある点に注意が必要です。
建物の劣化・資産価値の低下
ゴミ屋敷化した部屋を放置してしまうと、建物そのものの劣化が進む点にも注意が必要です。
たとえば、大量のゴミが長期間置かれることで、湿気がこもりやすくなり、床や壁、天井にカビや腐食が発生します。
また、生ゴミや飲み残しが放置されると、床材の変色や悪臭の染み付きが起こりやすくなります。
これらの汚れは、通常の清掃では落としきれず、原状回復の際に特殊な清掃や大規模な修繕工事が必要になることも少なくありません。
また、建物の状態が悪化すると、次の入居者募集にも影響が出ます。
内見時に共用部や隣室から異臭が感じられれば、「管理が行き届いていない物件」という印象を持たれやすく、空室期間の長期化につながりかねません。
さらに、修繕費用がかさむことで、想定していた利回りを確保できなくなる可能性もあるでしょう。
火災・害虫などの二次被害リスク
アパートのゴミ屋敷化で特に注意したいのが、火災や害虫発生といった二次被害のリスクです。
大量のゴミが室内に溜まっている状態では、タバコの不始末や電気機器の過熱など、わずかなきっかけでも火災に発展する危険性が高まります。
また、ゴミの中に食品の残りや空き容器が混在していると、ゴキブリやハエ、ネズミなどが発生しやすくなります。害虫は壁や配管を通じて他の部屋へ広がることもあり、アパート全体の衛生環境を悪化させる原因になるでしょう。
これらの被害が拡大すると、オーナーは入居者対応や修繕対応だけでなく、消防や保健所への対応を求められるケースもあります。
状況によっては、近隣住民から損害賠償を請求される可能性も否定できません。
ゴミ屋敷は契約違反になる?強制退去させることは可能?

アパートがゴミ屋敷化した場合、「契約違反として住人をすぐに退去させられるのではないか」と考えるオーナーの方も多いかもしれません。
結論からお伝えすると、ゴミ屋敷化が賃貸借契約違反に該当する可能性はあるものの、強制退去まで進めるハードルは高いのが実情です。
多くの賃貸借契約では、入居者に対して「善良な管理者として使用する義務(善管注意義務)」や「近隣に迷惑をかけない義務」が定められています。
ゴミ屋敷状態がこれらの義務に反し、近隣トラブルや建物への重大な影響を及ぼしている場合、契約違反と評価される余地はあります。
しかし、賃貸借契約は入居者の居住権が強く保護されるため、ゴミ屋敷であることだけを理由に、直ちに契約解除や強制退去が認められるわけではありません。
実際には、「是正を求めても改善されない」「生活に深刻な支障が出ている」といった事情を、客観的な証拠とともに積み重ねていく必要があります。
そのため、ゴミ屋敷問題を理由に退去を求める場合は、段階的な対応と慎重な手続きが欠かせません。
強制退去までの具体的な対処法や流れについては、「ゴミの処分に入居者が応じない場合の対処法」で詳しく解説しますので、合わせて参考にしてください。
貸しているアパートがゴミ屋敷化しても勝手に処分はできない

アパートがゴミ屋敷状態になっているのを目の当たりにすると、オーナー自身で片付けてしまいたいと感じることもあるでしょう。
しかし、入居者の承諾なく室内に立ち入ったり、ゴミを処分したりする行為は、原則として認められていません。
賃貸借契約中の部屋は、たとえオーナーの所有物件であっても、入居者の「占有」が認められています。
そのため、無断で立ち入る行為は不法侵入、室内の物を処分する行為は所有権侵害や不法行為に該当するおそれがあるのです。
また、ゴミの中に、入居者にとって必要な私物や貴重品が含まれている可能性もあるため、処分の判断をオーナー側だけで行うのは非常に危険です。
たとえ悪臭や害虫が発生していたとしても、緊急性が認められない限り、オーナーの独断による処分は避けるべきといえます。
アパートがゴミ屋敷化したときにオーナーがすべき対応

ここでは、アパートのゴミ屋敷化が疑われる場合に、オーナーとしてまず何をすべきか、どのような順序で対応を進めるべきかを解説します。正しい手順で対処するために、ぜひ参考にしてください。
事実確認と記録
アパートのゴミ屋敷問題への対応で最初に行うべきなのは、事実確認と記録です。
「あの部屋はゴミ屋敷らしい」「近隣から苦情が出ている」といった曖昧な認識のままでは、入居者への是正要求や、その後の法的手続きを進められません。
まずは、共用部分や外から確認できる範囲で、実際にどのような問題が起きているのかを確かめましょう。
たとえば、悪臭の有無、ゴミのはみ出し状況、害虫の発生、近隣からの苦情内容などを、日時とともに記録しておくことが重要です。
この際、写真や動画を残しておくと、あとの説明や交渉がスムーズになります。
管理会社が関与している場合は、管理会社からの報告書やメールなども保存しておくとよいでしょう。
こうした記録は、単なるメモではなく、「改善を求める正当な理由」を示す根拠になります。後に入居者が対応を拒んだ場合や、契約解除・訴訟を検討する段階に進んだ場合にも、事実確認と記録が大きな意味を持つことを押さえておきましょう。
管理会社・入居者への通知
事実確認と記録ができたら、次に行うのが管理会社や入居者への通知です。
アパートのゴミ屋敷問題は、オーナーが単独で抱え込むものではなく、管理会社と連携しながら進めることが基本です。
管理会社が入っている場合は、まず状況を共有し、これまでの苦情内容や対応履歴を確認しましょう。
管理会社から入居者へ連絡を入れてもらうことで、オーナーが直接対峙するリスクを避けられる場合もあります。
なお、入居者への通知では、感情的な表現や一方的な非難は避け、事実に基づいて冷静に伝えることが重要です。
「悪臭や害虫について複数の苦情が出ている」「契約上、近隣に迷惑をかけない使用が求められている」といった形で、問題点と理由を具体的に示すようにしましょう。
また、この段階では口頭連絡だけで終わらせず、書面やメールなど記録が残る方法を併用するのが望ましいです。
あとで「聞いていない」「言われていない」といった主張を防ぐためにも、通知内容は必ず保存しておきましょう。
改善期限の設定と書面対応
管理会社や入居者へ通知を行っても、すぐに状況が改善されるとは限りません。
そのため、口頭や簡単な連絡だけで終わらせず、改善期限を明確にした書面対応へ進むことが重要です。
書面では、「いつまでに」「どの状態まで」改善を求めるのかを具体的に示します。
たとえば、「〇年〇月〇日までに室内のゴミを撤去し、悪臭や害虫が発生しない状態にする」といったように、期限と内容を明確に記載します。
あわせて、期限までに改善が見られない場合には、契約違反としてさらなる対応を検討する可能性があることも伝えておきましょう。
なお、書面は普通郵便ではなく、内容証明郵便など、送付した事実と内容が残る方法を選ぶと、後のトラブル防止につながります。
ゴミの処分に入居者が応じない場合の対処法

通知を行い、改善期限を設けても、入居者がゴミの処分に応じず、状況が改善されないケースもあります。
このような場合、オーナーとしては法的手続きを視野に入れた対応を検討することになるでしょう。
この際に取れる最終的な手段の一つが、建物の明渡しを求める「明渡訴訟」です。
アパートのゴミ屋敷化が原因で、近隣住民の生活に支障が出ている、建物に重大な影響が及んでいるなど、契約違反の程度が大きいと判断されれば、明渡しが認められる可能性があります。
明渡訴訟の一般的な流れは、次のとおりです。
- 改善を求める通知・書面対応を繰り返す
- それでも改善されない場合、契約解除の意思表示を行う
- 任意での退去に応じない場合、明渡訴訟を提起する
- 裁判所の判断に基づき、明渡しが実行される
なお、明渡訴訟はすぐに結果が出るものではなく、数か月以上の期間がかかることも珍しくありません。
そのため、証拠の整理や手続きの進め方については、弁護士などの専門家にアドバイスをもらうことをおすすめします。
ゴミ屋敷化したアパートの原状回復費用

ゴミの量や室内の状態によっては、通常の退去時清掃では対応できず、高額な費用が発生するケースも少なくありません。
また、清掃費用だけでなく、クロス張替えや床材交換、設備修繕などが必要になる場合もあります。
原状回復費用は、間取りやゴミの量、汚れの程度によって大きく異なりますが、以下を参考にするとよいでしょう。
| 間取り | 作業人数 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 1K〜1R | 1〜2名 | 30,000〜80,000円 |
| 1DK〜3LDK | 3〜8名 | 50,000〜500,000円 |
| 4LDK | 4名〜 | 220,000〜700,000円 |
| 修繕箇所 | 価格の目安 |
|---|---|
| 壁紙(クロス)の張り替え | 800〜1,500円/㎡ |
| 床(クッションフロア)の張り替え | 2,500円〜/㎡ |
| 畳の表替え | 約4,000円/畳 |
なお、実際の費用については現場の状況によっても差が出るので、業者へ依頼する際は、必ず事前に見積もりを依頼することをおすすめします。
原状回復費用は誰が負担する?
原状回復費用については、原則として入居者の故意・過失によって生じた損耗は入居者負担となります。
一方で、すべての費用を当然に入居者へ請求できるわけではありません。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、経年劣化や通常使用による損耗は貸主負担とされており、どこまでが入居者の責任かを個別に判断する必要があります。
そのため、ゴミ屋敷化による損害と、通常の経年劣化とを区別し、写真や見積書などの客観的資料をもとに整理することが重要です。
敷金がある場合でも、全額を無条件に充当できるとは限らない点は押さえておきましょう。
原状回復費用が貸主負担となった判例
本件は、貸室内をゴミ屋敷にしたうえで火災を発生させた賃借人に対して、賃貸人が原状回復費用等の支払いを求めた事案です。
賃借人は「築年数が古く、19年以上居住しており、クロスやフローリング等は経年変化の年数を超えているため貸主負担」と主張しました。
しかし裁判所は、火災とは無関係な設備の破損・劣化も含め、賃借人の不適切な手入れや用法違反により通常使用を超えて汚損・破損したと認定し、貸室を「本来機能していた状態に戻す」ための工事費(約143万円)と、工事期間中に賃貸できなかった分の逸失利益(約49万円)を認めました。
このように、通常の使用範囲や摩耗を超える損傷や劣化については、借主負担となるケースもあることを覚えておきましょう。
【参考】東京地裁 平成28年8月19日判決|一般財団法人不動産適正取引推進機構
ゴミ屋敷化したアパートの原状回復ならブルークリーンへご相談を

ゴミ屋敷化したアパートの原状回復は、通常の退去清掃とは異なり、大量の残置物撤去・強い臭いへの対応・害虫対策・内装や設備の修繕など、専門的な対応が求められます。
オーナー自身や一般的な清掃業者だけで対応しようとすると、想定以上に時間や手間がかかり、結果としてトラブルが長期化してしまうケースも少なくありません。
そのような場合は、ゴミ屋敷や事故物件の原状回復に特化した専門業者であるブルークリーンへご相談ください。
ブルークリーンでは、アパート・マンションのゴミ屋敷案件を多数手がけており、残置物撤去から消臭・清掃、必要に応じた内装復旧まで一括で対応しています。
たとえば、長年ゴミが溜まり悪臭が発生していた部屋でも、分別・搬出作業とあわせてオゾン脱臭や徹底清掃を行い、次の入居募集が可能な状態まで回復させた事例があります。
また、火災や水漏れなどが重なったケースでも、被害状況を確認したうえで、オーナー側のリスクや費用負担を抑える形で作業内容をご提案可能です。
「どこまで原状回復すべきかわからない」「費用感を先に把握したい」といった段階でも構いません。まずはお気軽にご相談ください。
アパートのゴミ屋敷化の再発防止策

最後に、オーナーが実践しやすいアパートのゴミ屋敷化防止策を解説します。
定期巡回・管理体制を見直す
ゴミ屋敷化を防ぐうえで重要なのが、異変を早期に発見できる管理体制です。
長期間にわたって室内の状況を把握できないまま放置すると、気づいたときには深刻な状態になっているケースも少なくありません。
管理会社に委託している場合は、定期巡回の頻度やチェック項目を改めて確認しましょう。
たとえば、共用部の清掃状況、異臭の有無、ゴミの搬入状況など、外からでも把握できるポイントは多くあります。
自主管理の場合でも、法令やプライバシーに配慮しつつ、近隣からの小さな苦情を見逃さない姿勢が大切です。
契約書・特約条項の見直し
ゴミ屋敷化を防止するには、賃貸借契約書の内容を見直すことも欠かせません。
ゴミの放置や著しい不衛生状態が契約違反にあたること、是正に応じない場合には契約解除の対象となり得ることを、特約条項として明記しておくことで、後の対応がしやすくなります。
ただし、「一切の原状回復費用を入居者負担とする」といった一方的な内容は、消費者契約法上無効と判断されるおそれがあります。
そのため、通常損耗との区別や、是正手続きの流れ(通知・期限設定など)を具体的に定め、合理性のある内容にすることが重要です。
入居審査を徹底する
ゴミ屋敷化のリスクは、入居審査の段階である程度見極められる場合もあります。
審査では、過去の居住状況や生活スタイル、収入の安定性、保証人・保証会社の有無などを総合的に確認することが大切です。
また、高齢単身者や長期入居が想定されるケースでは、緊急連絡先の確認や見守り体制の有無も重要になります。
管理会社や保証会社と連携し、異変があった際にすぐ共有できる体制を整えておくと安心です。
まとめ
アパートの一室がゴミ屋敷化すると、近隣トラブルや建物の劣化、火災・害虫といった二次被害など、オーナーにとって深刻なリスクが生じます。
放置すればするほど、原状回復費用や法的対応の負担が大きくなる点には注意が必要です。
ゴミ屋敷は、直ちに強制退去させられる問題ではありませんが、事実確認や記録、是正通知、改善期限の設定といった段階的な対応を積み重ねることで、明渡しが認められる可能性もあります。
また、原状回復費用についても、「通常損耗か」「著しく不適切な使用か」によって、貸主・借主の負担が大きく分かれるため、証拠の整理が欠かせません。
すでにゴミ屋敷化が進行している場合は、オーナー単独で抱え込まず、管理会社・弁護士・専門業者と連携しながら対応を進めることが重要です。
早期に動くことで、費用やトラブルの拡大を防ぎ、次の賃貸運営へとつなげやすくなります。
▼ 保有資格・専門技術(IICRC/CDC準拠)
- 国際ライセンス:IICRC認定技術者(CCMT/OCT)
- 専門技術:カビ除去(Goldmorr認定)/ ペストコントロール技能師
- 災害支援:災害復旧技術者(JRES認定)
- 自治体講師:横浜市栄区「ごみ屋敷解消と再発防止支援」
▼ メディア出演・活動実績
- YouTube登録者5.3万人:「特殊清掃ch|すーさん」メイン出演
- TV出演:ABEMA Prime #アベプラ【公式】
- 連載コラム:日刊SPA! / bizSPA!フレッシュ
- インタビュー:スタジオパーソル(キャリア特集)






