アパートで快適な生活を送りたいけれど、ゴミ屋敷問題に悩んでいる方も多いと思います。
また、オーナーとしてアパートに残されたゴミ屋敷の対処に困っているということもあるでしょう。
アパートのゴミ屋敷化は、近年深刻な社会問題となっています。
そこでこの記事では、アパートのゴミ屋敷化が増加する原因と、それに伴うリスクについて詳しく解説します。
この記事を読むことで、アパートのゴミ屋敷問題に対して有効な対策や予防を行えます。
アパートで快適な生活を送りたい方はぜひ参考にしてください。
▶経歴
・公益社団法人日本ペストコントロール協会ペストコントロール技能師
・3,000件以上の孤独死案件に携わる
▶メディア出演
・「ABEMA 変わる報道番組 #アベプラ【公式】」ABEMA
・「田村淳の地上波ではダメ!絶対!」BSスカパー
・日刊SPA!
・bizSPA!フレッシュ
・「Channel恐怖」Aamzon prime video
アパートのゴミ屋敷は増えている!一体どうして?
アパートのゴミ屋敷化は、近年深刻な社会問題となっています。
たとえば、250の市町村が「ゴミ屋敷が発生している」と回答しているというデータがあります。(900536071.pdf (env.go.jp))
また、ゴミ屋敷の存在について認知している市区町村は594にも上り、全体の「約34.2%」にあたる回答もあるほどです。(参考:untitled (mlit.go.jp))
では、なぜアパートがゴミ屋敷になってしまうのでしょうか?
アパートがゴミ屋敷化する原因としては、以下の3つが挙げられます。
- 近所関係の希薄化
- ゴミ出しルールに対応できない
- 片付けが苦手な人の増加
原因1.近所関係の希薄化
近所関係の希薄化は、賃貸物件に住んでいる人ほど顕著です。
賃貸物件に住んでいる人は、持ち家に住んでいる人よりも近所付き合いが少ない傾向にあります。
近所付き合いが少ないと、部屋が汚れても周囲に迷惑をかけているという自覚が薄れます。
また、近所から注意されることも少なくなるでしょう。
原因2.ゴミ出しルールに対応できない
ゴミ出しルールに対応できないのは、自治体やアパートによって異なるゴミ出しルールがあるためです。
一部の地域では、ゴミ出しルールが厳しくなっており、ゴミ袋にフルネームを記載したり、可燃ゴミは生理用品以外が見えるように処分したりしなければならない場合もあります。
このようなルールに対応できず、部屋にゴミを溜め込んでしまう人もいます。
原因3.片付けが苦手な人の増加
片付けが苦手な人が増えているのは、ストレス社会と精神疾患の増加が関係していると考えられます。
たとえば、鬱病や統合失調症を抱えている人は、何に対しても無気力になりがちで、部屋を片付けることができません。
また、ADHDなど、部屋を落ち着いて片付けられない障害を抱えている人もいます。
アパートがゴミ屋敷になる原因は多岐にわたるため、これらの原因を理解することで、対策や予防が考えられます。
アパートがゴミ屋敷化することのリスクとは?
アパートがゴミ屋敷化することは、入居者だけでなくオーナーや周辺住民にも多大なリスクをもたらします。
具体的には以下の3つのリスクがあります。
- 周囲に悪影響が出る
- アパートの強度に支障が出る
- 二次災害の危険がある
1つずつ、紹介していきます。
リスク1.周囲に悪影響が出る
アパートがゴミ屋敷化すると、周囲の住人に迷惑をかけることになります。
ゴミ屋敷からは異臭や害虫が発生する可能性が高いからです。
たとえば、ゴミ屋敷の部屋からは腐った食べ物やペットの糞尿などの臭いが漏れ出し、隣や上下の部屋にも匂いが移ってしまいます。
また、ゴミ屋敷にはネズミやゴキブリなどの害虫が繁殖しやすく、壁や床を通して他の部屋にも侵入してしまいます。
これらのことは、周囲の住環境を悪化させることにつながる問題です。
放置しているゴミ屋敷の行政代執行のリスクについては、下記の記事も参考にしてください。
参考:ゴミ屋敷の行政代執行をわかりやすく解説!事例や回避方法まで紹介(運営:株式会社AlbaLink)
リスク2.アパートの強度に支障が出る
アパートがゴミ屋敷化すると、アパート自体の耐久性に問題が生じることになります。
ゴミ屋敷ではゴミが重量や湿気で建物を傷める可能性が高いからです。
たとえば、木造アパートの場合、ゴミ屋敷に積み重なった生ゴミや水分が木材を腐食させることで、部屋だけでなくアパートそのものの強度を低下させます。
また、1階がゴミ屋敷になってしまった場合、ゴミの重量で床が沈み込んでしまったり、2階部分が陥没したりすることもあり得ます。
これらのことは、アパート全体の安全性を危うくすることにつながるでしょう。
リスク3.二次災害の危険がある
アパートがゴミ屋敷化すると、火災や水害などの二次災害に巻き込まれることになります。
ゴミ屋敷ではゴミが燃えやすく水を吸いやすい特徴を持つからです。
たとえば、不審火や落雷などで火災が起きた場合、ゴミ屋敷のゴミは燃え広がりやすく、アパート全体を炎上させる可能性があります。
また、台風や豪雨などで水害が起きた場合、ゴミ屋敷のゴミは水を吸収しやすく、アパート内外に流されてしまう可能性があります。
これらのことは、アパート全体の被害を拡大させることにつながるリスクです。
以下の記事では、ゴミ屋敷の状態をレベル別に分けて紹介しています。
一定レベルまで汚れてしまうと、掃除の費用も高額になってしまうので、アパートのゴミ屋敷がどの程度のものなのか、確認しましょう。
【これが『レベル5』のゴミ屋敷です】ゴミ屋敷の片付け方法と対処方法も解説
アパートのゴミ屋敷化を理由に入居者を強制退去させられる?
貸主としては、ゴミ屋敷化した入居者に対して、契約解除の通知を送付することが必要です。
契約解除は貸主の一方的な意思表示であり、入居者にその旨を伝えることが契約解除の効力発生の要件となるからです。
ただし、契約解除の通知を送付しただけでは、入居者が退去する義務が生じるわけではありません。
入居者は契約解除の有効性について異議を申し立てる権利があり、その場合は裁判所の判断を仰ぐ必要があるからです。
裁判所は、ゴミ屋敷化した入居者に対して、貸主の契約解除が妥当かどうかを判断します。
その際には、ゴミの量や種類、放置期間や頻度、周囲への影響や危険性などを総合的に考慮します。
たとえば、社会常識の範囲を遥かに越える著しく多量のゴミを放置する行為は賃貸借契約を解除する事由に構成するものと言わざるを得ないという判例があります(東京地裁 平成10年6月26日判例より引用)。
しかし、裁判所は必ずしも貸主の契約解除を認めるわけではありません。
たとえば、貸室内におけるゴミの放置状態が多少不潔であるからといって、直ちに賃貸借契約を解除することはできないという判例もあります。
したがって、貸主としては、ゴミ屋敷化した入居者に対して契約解除を求める場合は、その根拠や事実関係を明確に示し、裁判所においてもその妥当性を主張する必要があります。
また、入居者としては、貸主から契約解除の通知を受けた場合は、その有効性や合理性に疑問があれば、裁判所において異議を申し立てられます。
ゴミ屋敷化したアパートから住人を強制退去をさせる流れ
ここからは、ゴミ屋敷化したアパートから住人を強制退去させる流れを紹介します。
- 口頭・文書で注意か交渉をする
- 家賃を滞納していれば連帯保証人へ連絡する
- 内容証明を送付する
- アパートの契約を解除する
- 明け渡し請求訴訟をする
この流れを知っておくと、オーナーとしての権利と義務を理解し、適切な対応ができます。
また、ゴミ屋敷の住人に対しても、法的な手続きを踏んでいることを示し、改善や退去への協力を促せるでしょう。
(1)口頭・文書で注意か交渉をする
まずは、ゴミ屋敷の状況について住人に確認し、改善や退去を求めます。
口頭での注意は、住人との信頼関係を保ちながら話し合えるメリットがあります。
しかし、口頭だけでは証拠にならないので、文書でも同じ内容を伝えることが重要です。
文書では、ゴミ屋敷の具体的な問題点や改善期限、契約違反による解除や訴訟の可能性などを明記し、住人に受領してもらうようにします。
文書は裁判で必要な書類となるので、コピーを残しておくことも忘れないでください。
(2)家賃を滞納していれば連帯保証人へ連絡する
ゴミ屋敷の住人が家賃を滞納している場合は、連帯保証人に連絡して支払いや退去の催促をします。
連帯保証人は契約上、住人と同じ責任を負うことに同意しているので、家賃の支払いや退去の協力が期待できるはずです。
連帯保証人への連絡は家賃滞納者への催告書と同じ内容にする必要があります。
また、連帯保証人への連絡は裁判所にも提出できるので、日付や内容などを記録しておくことが望ましいです。
(3)内容証明を送付する
ゴミ屋敷の改善や退去が期限内に行われなかった場合は、内容証明郵便で賃貸借契約解除の書面を送付します。
内容証明郵便は郵便局から発送された日時や受取人が確認できるもので、「受け取っていない」「届いていない」を防止するためのものです。
内容証明郵便では、ゴミ屋敷の状況や改善期限の経過、契約違反による解除理由や退去期限などを詳細に記載します。
内容証明郵便は裁判で必要な書類となるので、コピーを残しておくことも忘れないでください。
(4)アパートの契約を解除する
内容証明郵便に記載された退去期限までに住人が退去しなかった場合は、賃貸借契約を解除します。
契約解除の通知は内容証明郵便で送付することが望ましいです。
契約解除の通知では、契約解除の理由や日付、明け渡し請求訴訟の可能性などを記載します。
契約解除により、住人はアパートに住む権利を失うことになります。
しかし、住人が実際に退去しない場合は、次のステップに進む必要があるでしょう。
(5)明け渡し請求訴訟をする
契約解除後も住人が退去しない場合は、裁判所に明け渡し請求訴訟を提起します。
明け渡し請求訴訟では、住人に対してアパートからの退去と未払いの家賃や損害賠償金の支払いを求めます。
裁判所は住人に対して立ち退き催告書を送付しますが、それでも退去しない場合は、強制執行の申し立てをして強制退去させられます。
強制執行は裁判所から執行官が派遣されて行われるので、オーナー自身が住人に直接接触する必要はありません。
ここまでが、ゴミ屋敷化したアパートから住人を強制退去をさせる流れです。
この流れを知っておくことで、オーナーとして正しい対応ができます。
また、ゴミ屋敷の住人に対しても、法的な手続きを踏んでいることを示し、改善や退去への協力を促せるでしょう。
ゴミ屋敷化したアパートの原状回復費用はどれくらいか
ゴミ屋敷化したアパートの原状回復費用の相場は、以下の表のようになります。
部屋が広くなるほど費用は高くなり、同じ広さでも、劣化が進んでいる場合には追加の費用が必要になります。
修繕箇所 | 価格の目安 |
---|---|
壁紙(クロス)の張り替え | 800〜1,500円/㎡ |
床(クッションフロア)の張り替え | 2,500円〜/㎡ |
畳の表替え | 約4,000円/畳 |
また、ゴミの撤去費用の相場は、以下の表のようになります。
ゴミなど処分する物が多いほど追加で費用が必要です。
間取り | 作業人数 | 費用の目安 |
---|---|---|
1K〜1R | 1〜2名 | 30,000〜80,000円 |
1DK〜3LDK | 3〜8名 | 50,000〜500,000円 |
4LDK | 4名〜 | 220,000〜700,000円 |
費用は元借主に請求できる?
ゴミ屋敷化したアパートの原状回復費用は、原則として元借主に請求できます。
ゴミ屋敷化は通常の使用に含まれない損耗や損傷とみなされるからです。
たとえば、国土交通省による「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常の使用に含まれる損耗は大家さんの負担とし、通常を超える使用による損耗や損傷は元借主の負担としています。
しかし、実際には元借主から高額な原状回復費用を回収することは難しい場合が多くあります。
元借主が支払い能力を持たない場合や連絡が取れない場合が多いからです。
たとえば、元借主が自己破産していたり、転居先が不明だったりする場合は、請求できません。
そのため、大家さんは保証会社や弁護士などに相談して対応する必要があります。
【関連記事】ゴミ屋敷掃除の料金はクレカで払える?おすすめの業者や支払いの注意点を解説
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アパートのゴミ屋敷化は増加傾向にあります。
放置すると、周囲に悪影響が出たり、アパートの強度に支障が出たり、二次災害の危険があります。
また、強制退去をさせるまでには、口頭・文書での注意や交渉、内容証明の送付、契約解除、明け渡し請求訴訟など根気が必要です。
さらに、ゴミ屋敷化したアパートの原状回復費用は高額ですが、元借主に全て負担させることは難しい場合が多いです。
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