親や親戚が孤独死したときの遺品整理の方法でお悩みですね。
孤独死のあった現場にある遺品の多くは処分品になってしまいます。
なぜなら、部屋の腐敗が酷く汚れていたり細菌が付いているケースが多いからです。
なので、整理しようとすれば、使えるものと使えないものを分けるなどの結構な手間と時間がかかるでしょう。
そこで今回は、孤独死のあった遺品整理の方法やポイント、注意点をご紹介します。
身の回りで孤独死があったとしても、焦らず適切な対処をできるように覚えておきましょう。
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▶経歴
・公益社団法人日本ペストコントロール協会ペストコントロール技能師
・3,000件以上の孤独死案件に携わる
▶メディア出演
・「ABEMA 変わる報道番組 #アベプラ【公式】」ABEMA
・「田村淳の地上波ではダメ!絶対!」BSスカパー
・日刊SPA!
・bizSPA!フレッシュ
・「Channel恐怖」Aamzon prime video
1.親族が孤独死したら遺品整理は誰が行う?
一般的に、遺品整理は故人または最も近い親族が行うことが多いです。
しかし法的な視点では、相続人となる人が遺品整理をする義務があります。
なぜなら持ち物の所有権は、故人の死後に相続人が受け継ぐからです。
誰が相続人になるかは、遺言で指名された場合はその人になります。
しかし遺言がない場合は「法定相続人」に遺品整理の義務が発生します。
法定相続人になる人の順番は以下の通りです。
- 配偶者
- 子や孫
- 父母や祖父母
- 兄弟姉妹
または話し合いで遺品整理をする人を決める場合もあります。
遺品整理は義務なので、担当することになった場合は放棄できません。
2.孤独死があった現場の遺品の多くは処分品になる
孤独死があった現場の遺品の多くは処分品となります。
なぜなら、遺品のうちの80%に死体の腐敗臭が染み付いていることが多いからです。
孤独死の特徴として、死体の発見が遅れることが挙げられます。
死体を数日間放置すると腐敗し、悪臭や雑菌が発生してしまうのです。
死体の体液によって家財が汚れることもあります。
そのため、孤独死が起きた現場にあるほどんどの遺品が処分品となるのです。
現場に残った遺品整理は、遺品として残すものと処分するものに分けるだけでも相当な労力と時間がかかります。
また、腐敗・細菌によって整理をする人に健康被害が及ぶことも少なくありません。
そのため、孤独死の遺品整理は特殊清掃もできる業者に依頼することをおすすめします。
3.孤独死の遺品整理なら特殊清掃もできる業者に依頼すべき
孤独死の起きた現場には、特殊清掃もできる業者を呼んで一緒に遺品整理をしましょう。
特殊清掃とは、周囲へ影響を与えるような臭いや自分たちでは取れない汚れを清掃することです。
遺品整理を行う前にある程度特殊清掃をしておかなければ、汚れや臭いが酷くて家の中に入れません。
特殊清掃もできる業者に遺品整理を依頼する理由は以下の通りです。
- 腐敗臭が酷く近隣に迷惑がかかる
- 素人では清掃できないことが多い
- 特殊清掃と遺品整理を別で頼むと費用がかさむ
順番に確認していきましょう。
理由1.腐敗臭が酷く近隣に迷惑がかかる
孤独死の現場から腐敗臭が出てしまい、近隣に迷惑がかかります。
孤独死の発見は、腐敗臭によって発見されるケースが多いです。
それほど死体の腐敗臭は酷く、通常の清掃・掃除だけでは腐敗臭は取れません。
そのため、一般的に特殊清掃業者による消臭をしなければ、窓を開けてはいけないとされています。
というのも、腐敗臭が外に広まってしまい、近所迷惑になるからです。
できるだけ早く特殊清掃業者を呼び、窓を開けても腐敗臭が外に漏れないような環境を整えましょう。
理由2.素人では清掃できないことが多い
孤独死の現場の汚れは、素人で清掃できないことが多いです。
一見「普通のハウスクリーニングでも良いのでは?」と思うかもしれません。
ハウスクリーニングでは対応できない汚れも孤独死の現場にあります。
たとえば、体液や血液などが床にこびりついています。
腐敗臭によって、雑菌や害虫が湧いていることも意外に少なくありません。
しかし、特殊清掃業者なら素人では取り扱えない薬剤を使って部屋をきれいにしてくれます。
このような現場の消臭・除菌・清掃は特殊清掃業者でなければ対応できないのです。
理由3.特殊清掃と遺品整理を別で頼むと費用がかさむ
特殊清掃と遺品整理を別の業者に頼むと費用がかさんでしまいます。
孤独死の現場に特殊清掃は欠かせません。
また、遺族がいるのであれば遺品整理も清掃途中に行うことになります。
特殊清掃と遺品整理を別の業者に頼んでしまうと、特殊清掃の作業員の手を止めて遺品整理をすることになってしまうのです。
当然、手を休めている間も特殊清掃の作業員の稼働時間として請求されます。
特殊清掃のスタッフ・遺品整理のスタッフそれぞれに費用を支払うことになってしまうのです。
また、別々で依頼するよりも効率よく作業を進められます。
以上のような理由から、孤独死があったなら特殊清掃と遺品整理の両方を依頼できる業者に依頼すべきです。
4.孤独死の発見から遺品整理するまでの流れ
孤独死が発覚してから特殊清掃をし、遺品整理を行うまでの流れは以下の通りです。
孤独死が発覚した場合、その多くが特殊清掃を必要とします。
特殊清掃は一般人では難しく、遺品整理と一緒に行うほうが費用を抑えられるため、業者に依頼しましょう。
ここからは、遺品整理までの流れを具体的に解説します。
流れ1.遺品整理もできる特殊清掃業者に連絡
孤独死が発覚したら、遺品整理もできる特殊清掃業者にすぐ連絡しましょう。
特殊清掃と遺品整理は同じ業者に依頼することで、それぞれ別の業者に頼むより費用を抑えられるからです。
また孤独死は時間が経つにつれて体液が漏れ出したり遺体が腐敗したりすることで、ウジ虫が湧いたり悪臭が発生したりします。
そのため、孤独死の現場を見つけたらなるべく早く業者に連絡しましょう。
流れ2.見積もり
業者に現地調査をしてもらい、見積もりを出してもらいます。
このとき、なるべく2社〜3社から見積もりを出してもらいましょう。
複数社から見積もりをもらうことで、法外な料金を請求されていないかの確認や、料金の交渉ができます。
依頼者が遠方に住んでいてすぐ現地に行けない場合は、業者に鍵を渡して立ち会いなしで現地調査をしてもらうことも可能です。
流れ3.特殊清掃
見積もりで確認した作業内容で問題なければ、契約成立となり打ち合わせした日に特殊清掃が行われます。
特殊清掃は数時間で終了するものもあれば、汚染具合や建物の構造によっては数日間かかるものも。
特殊清掃では主に以下のことが行われます。
- 体液・血液の除去
- 残置物の撤去
- 消毒
- 消臭
依頼者の希望があれば、原状回復をして管理者に引き渡せる状態まで修復やリフォームをする場合もあります。
流れ4.遺品整理
遺品整理は特殊清掃の途中で実施されることもあれば、清掃終了後に行われることもあります。
貴重品と不用品を分類し、何を残すかを依頼者と相談しながら作業を進めます。
また遺品の買い取りも可能な業者なら、金目のものをそのまま買い取ってもらい作業費用から引いてもらうことも可能です。
全ての作業が終了したら費用を支払います。
また、以下の記事では遺品整理の費用について詳しく解説しているので、併せてチェックしてみてください。
5.孤独死があったときの遺品整理の注意点
身内が孤独死すると「どうすれば良いか分からない」と気が動転するかもしれません。
しかし、以下のような注意点を事前に知っておけば正しく対処することができます。
- 特殊清掃前に部屋に入らない
- 手袋やマスクを準備する
- 勝手に窓を開けたりお風呂を流したりしない
- きれいな状態で遺品を残す
順番に見ていきましょう。
注意点1.特殊清掃前に部屋に入らない
孤独死のあった現場には、特殊清掃前に入ってはいけません。
なぜなら、死体による強い腐敗臭によって体調を崩す可能性があるからです。
体液や血液などから感染症にかかってしまうこともあります。
また、床材に孤独死した故人の形のまま体液が残っていたり、大量の血液が流れている現場も珍しくありません。
生々しい孤独死の現場を見ると脳裏に焼きついて、今後フラッシュバックに苦しむ原因にもなります。
必ず特殊清掃後に部屋に入るようにしましょう。
注意点2.手袋やマスクを準備する
孤独死の現場で遺品整理をする際、手袋やマスクを準備しましょう。
孤独死の現場に残された家財には、腐敗体液や雑菌が付着しています。
手に雑菌や汚れが付着するのを防ぐために、手袋は欠かせません。
また、腐敗臭や雑菌を吸い込むことを防ぐためにマスクも着用しましょう。
注意点3.勝手に窓を開けたりお風呂を流したりしない
孤独死のあった現場では、勝手に窓を開けたりお風呂を流したりしないよう注意しましょう。
発見時などの特殊清掃前には、現場に腐敗臭が充満しています。
そのため、換気をしようと窓を開けたくなるかもしれません。
しかし、窓を開けてしまうと近隣に強い腐敗臭を流してしまうからです。
「腐敗臭が洗濯物について取れない」
といった苦情を受けたり損害賠償を求められることもあります。
また、お風呂場で孤独死しているケースも、ついお風呂のお湯を流したくなりますが、これもよく有りません。
遺体が現場に残っていなくても、腐った皮膚や髪の毛、骨が残っていることも考えられます。
お風呂を流してしまうと、排水溝が詰まったり水路にしたいの一部を流す原因になることも。
特殊清掃業者の許可なく、窓を開けたりお風呂を流したりしないよう注意しましょう。
注意点4.きれいな状態で遺品を残す
遺品整理をするときは、きれいなものだけを残しましょう。
というのも、孤独死で何日も経過していると現場には細菌が舞っているからです。
細菌が遺品に付着しているケースもあるため、きれいな状態で遺品を残す必要があります。
除菌スプレーを使うなど、細菌を取り払っておきましょう。
また、残したい遺品について業者に残しても良いか確認することも大切です。
物の状態を業者に判断してもらい、難しい場合は処分もやむを得ません。
以上、孤独死の現場で遺品整理をするときの注意点でした。
「業者に頼んだらどんなことをしてくれるの?」
「どれくらいの費用がかかるの?」
と疑問に思う人もいるかもしれません。
次の章で、孤独死の遺品整理と特殊清掃の事例と料金について詳しく見ていきましょう。
関連:[遺品供養はやっぱり必要?供養の方法と依頼場所・費用相場を解説]
6.孤独死の遺品整理と特殊清掃の事例と費用
孤独死の遺品整理と特殊清掃を依頼するとき、どのような内容でいくら料金がかかるか気になりますよね。
そこで3つの事例をご紹介します。
- 東京都練馬区1Rマンション(145,000円)
- 東京都港区2DKマンション(396,000円)
- 東京都豊島区1Kアパート(579,000円)
順番に確認していきましょう。
事例1.東京都練馬区1Rマンション(145,000円)
- 作業内容:特殊清掃・遺品整理
- 作業人数:3名
- 作業時間:4時間
- 金額:145,000円
死体が見つかったのは亡くなってから2週間後という孤独死の現場の事例です。
費用は145,000円かかっています。
生前ヘビースモーカーだったこともあり、ヤニやタバコが腐敗臭と混じって強烈な臭いとなっていました。
原状回復工事は別業者に依頼するため、以下のような作業を行っています。
- 原状回復工事を見据えた腐敗物の除去
- 空間の消毒
- 遺品整理
- クロスとカーペット剥離工事
- 部屋全体の簡易清掃
- オゾン脱臭
腐敗臭を取り除くための作業と遺品整理がメインのため、相場より低い価格で済みました。
事例2.東京都港区2DKマンション(396,000円)
- 作業内容:特殊清掃・遺品整理
- 作業人数:6名
- 作業時間:8時間
- 金額:396,000円
死亡からすぐに発見された孤独死の現場の事例です。
費用は396,000円かかっています。
すぐに発見されたこともあり、体液や血液、臭いもほとんどありませんでした。
現場となった一室は売却するため、消毒脱臭作業と室内清掃、遺品整理が行われました。
特殊清掃の作業自体は少なく済んでいますが、原状復帰するために作業量が増えています。
1日で作業を済ませてもらうことで、費用を抑えることができました。
事例3.東京都豊島区1Kアパート(579,000円)
- 作業内容:特殊清掃・遺品整理
- 作業人数:5名
- 作業時間:2日間
- 金額:579,000円
死体が見つかったのは亡くなってから1ヶ月後という孤独死の現場の事例です。
腐敗臭の消臭に時間がかったことや、原状回復までしなければならなかったことで、579,000円の費用がかかりました。
腐敗臭が強烈で、近隣住民が悪臭に気付いて孤独死が発見されました。
臭いが部屋に染み付いてしまっているため、脱臭にまる2日間かかっています。
また、以下のような作業を行って原状回復されました。
- 壁紙剥がし
- 床部分解体工事消毒消臭
- オゾン脱臭
- 御遺品の整理
- 木部の処理
さらに遺品にも腐敗臭が移っており、特殊な薬品をつかって脱臭・消毒も行っています。
腐敗臭が酷いことから作業内容が多く、費用も相場より高くなっています。
以上、孤独死の遺品整理と特殊清掃を依頼したときの事例でした。
しかし、「依頼したいけど、どんな業者がいるか分からない」と言う人もいるかもしれません。
次の章で、遺品整理と特殊清掃を頼める業者を確認していきましょう。
7.孤独死の遺品整理・特殊清掃は心つむぐ遺品整理へご相談を!
ここまで孤独死の遺品整理について見てきました。
基本的に孤独死が起きたら特殊清掃も依頼しなければならないため、遺品整理と特殊清掃の2つを依頼できる業者を選びましょう。
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孤独死のあった現場の遺品は、処分品になることが多く業者に頼む方が圧倒的に楽です。
場合によっては、部屋の腐敗が酷く汚れていたり細菌が付いているケースもあります。
大切なものを残したい、分別しながら進めたいということならなおさら業者を呼ぶべきです。
特殊清掃業者を呼び、清掃・除菌・消臭を行った上で遺品整理を進めてみてください。
身の回りで孤独死があったとしても、焦らず適切な対処をしましょうね。