賃貸退去時にはフローリングの全面張替えが必要?原状回復費用の目安

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賃貸退去時にはフローリングの全面張替えが必要?原状回復費用の目安

賃貸退去前にフローリングの汚れや破損を見つけると、原状回復費がいくらになるのか気になりますよね。

もし、フローリング全面張替えとなったら、高額な費用になるのではないかと不安になるでしょう。

結論から言いますと、貸主が借主に原状回復費として請求できる範囲は、借主の過失で汚した傷や破損分のみです。

さらに入居年数に応じて減価償却分が考慮されるので、フローリングの全面張替え費用を借主が全額負担する必要はほぼないでしょう。

この記事では、賃貸退去時に借主が支払う原状回復費の範囲や貸主から高額な原状回復費を請求されたときの対処法について解説します。

退去時に貸主の言い値で高額な原状回復費を支払うことがないよう、基本的な知識を身に付けておきましょう。

1.何がある?賃貸物件の借主が負う原状回復義務

1.何がある?賃貸物件の借主が負う原状回復義務

借主は賃貸物件を退去するときに、部屋を入居前の状態にして退去する必要があり、これを原状回復義務と言います。

「部屋を入居前の状態に戻すには高額な費用がかかるのでは」と不安になる人もいるかと思いますが、ご安心ください。

借主が負う原状回復義務の範囲は、2020年の改正民法第621条で次のように定められています。

(賃借人の原状回復義務) 第621条 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

つまり、借主は自らの過失で汚れたり破損したりした場合、退去時に原状回復にかかった費用を負担する必要があるのです。

退去時におこなう原状回復工事の一例をご紹介します。

原状回復工事

  • フローリングの張替え・傷の補修
  • 壁紙(天井)クロスの張替え・穴の補修
  • キッチンの交換
  • お風呂・ユニットバスの交換
  • 水回りの換気扇の交換
  • 建具・ドアの交換
  • 窓・サッシ・網戸・窓枠の交換
  • ハウスクリーニング

これらの工事のうち経年劣化による損傷や汚れは、貸主の負担になります。

しかし、実際には賃貸退去時に傷や汚れがあった場合、借主の過失によるものか、経年劣化によるものなのか、はたまた入居前からあった傷なのか素人が判断するのは難しいでしょう。

(参考:賃借人の原状回復義務|e-Gov法令検索

2.賃貸の退去時にかかるフローリングの全面張替え費用はいくら?

2.賃貸の退去時にかかるフローリングの全面張替え費用はいくら?

賃貸物件の借主が負う原状回復義務について説明しました。

では、実際に賃貸の退去時にフローリングの全面張り替えが必要になった場合、費用はどれくらいか気になるはずです。

以下に、賃貸の退去時にかかるフローリングの全面張替え費用をまとめました

畳数 張替え費用
4畳 80,000円~150,000円
6畳 100,000円~180,000円
8畳 120,0000円~230,000円
10畳 140,000円~280,000円

こちらの表の張り替え費用はあくまでも目安の相場です。

張り替えるフローリングの種類によっては、同じ全面張り替えでも費用が上下します。

3.賃貸退去時のフローリング張替え費用は誰が払う?

2.賃貸退去時のフローリング張替え費用は誰が払う?

退去時にフローリングに傷が見つかると、「原状回復費をいくら支払わなければならないのだろうか」と不安になる人もいるでしょう。

フローリングの修繕費は、傷や破損ができた原因によって借主が負担するのか、貸主が負担するのかが決まります

ここからは、それぞれのケースを具体例を交えながら紹介するので参考にしてください。

【関連記事】退去する賃貸のフローリングが傷だらけに!修繕費用や傷を防ぐ方法を紹介

(1)借主がフローリングの修繕費用を負担するケース

借主は自らの過失でフローリングを汚したり、破損したりした場合、その箇所の修繕費を負担する必要があります。

具体的には、次のようなケースです。

借主がフローリングの修繕費を負担するケース

  • 飲み物や汚水などをこぼしてできたシミ・カビ
  • 引っ越し作業や模様替えにより付いた傷
  • 窓やドアを開けっぱなしにして雨が吹き込んでできた色落ちやシミ

ただフローリング全面張替えになった場合、借主に過失があったとしても、経年劣化分は貸主の負担です。

よって、借主の原状回復費は、借主の入居年数に応じて減価償却分が減額されます。

つまり、借主はフローリングの全面張替えの費用を満額支払う必要がない場合があるのです。

国土交通省が公開している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、経過年数を考慮し、当該建物の耐用年数で残存価値1円となるような直線を想定し負担割合を算定すると定めています。

また、建築構造によっても、フローリングの張替えに適用される耐用年数は異なるのです。

建築構造別に見る耐用年数は以下の通りです。

木造(住宅用) 22年
軽量鉄骨造(厚さ3mm~4mm)  27年
鉄骨鉄筋コンクリート・鉄筋コンクリート造(住宅用)  47年
重量鉄骨造・鉄骨造 34年

※参考:「減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表

たとえば、フローリングの全面張替えで150,000円かかる木造の賃貸物件に11年居住していたとしましょう。

この場合、退去時のフローリングの価値は50%まで下がります。

その結果、借主の過失でフローリング全面張替えが必要だとしても支払う原状回復費は75,000円まで減額されるのです。

入居年数が長ければ長いほど、フローリングの全面張替え費の借主費用負担は減ることを覚えておきましょう。

ですが、あまりにも臭いや汚れがひどく、特殊清掃が必要であれば負担は増えてしまいます。

下記の記事で、具体的に特殊清掃が必要な部屋はどのようなものなのかを紹介しているので、こちらもチェックしてみてください。

特殊清掃とは?現場の事例や費用・業者の選び方を解説

(2)貸主がフローリングの修繕費用を負担するケース

借主が自然に生活をしてできたフローリングの傷や汚れの修繕費は、貸主の負担になります。

具体的には、次のようなケースです。

貸主がフローリングの修繕費を負担するケース

  • 家具の配置によってできた設置跡
  • 経年劣化によるフローリングの色あせ、剥がれ
  • 借主の入居前からあった傷や汚れ
  • 建物の劣化による雨漏りや日照りによってできたシミやカビ

ただ貸主のなかには上記を主張しても、全て借主が原因による傷だと決めつけられ、フローリングの全面張替えや借主の負担割合が明らかに多い修繕費を請求されることがあります

退去時に貸主から不当にフローリングの全面張替え費用を請求されないよう、これから賃貸物件に入居予定の人は次の3つの対応をしておきましょう。

  • 引っ越し前に貸主とフローリングの傷や凹みをチェック
  • 引っ越し前の賃貸物件の写真を撮る
  • 雨漏りなど貸主の過失はすぐに連絡し対応してもらう

なお、入居前にこれらの対応ができずに、貸主から不当な請求を受けた場合は、後ほど紹介する対処法を見ながら貸主との交渉を進めていきましょう。

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4.注意!フローリングの全面張替えを退去前に自分でするのはNG

3.注意!フローリングの全面張替えを退去前に自分でするのはNG

借主のなかには、少しでも退去時の費用を安く抑えるために、フローリングを自分で張替えたいと思っている人もいるかもしれませんが、勝手に張替えるのはやめましょう。

賃貸物件は大家の所有物なので、フローリングの全面張替えを勝手におこなうのは禁じられています。

なぜなら、賃貸物件をどのような方法で、どこに依頼しどの程度修繕するかを決めるのは、貸主だからです。

もし、プロではない借主が勝手にフローリングの全面張替えをしてしまったら、仕上がりに差が出てしまう恐れがあります。

その結果、全面張替えが必要になり、かえって借主の負担が増えてしまうでしょう。

また借主が安い業者に直接依頼して、プロにフローリングの全面張替えをしてもらったとしても、貸主の希望に沿わない修繕をしているかもしれません。

このことから、借主がフローリングの全面張替えをするとさまざまなトラブルが予想されます

もし賃貸物件入居中に傷や汚れ、設備の故障があった場合は、勝手に修繕せず貸主の指示を仰ぎましょう。

5.フローリング全面張替え費用を請求されたときの5つの対処法

4.フローリング全面張替え費用を請求されたときの5つの対処法

原状回復義務の範囲は、借主が過失で汚したり、破損したりした部分のみと法律で定められています。

しかしながら、貸主のなかには経年劣化の汚れや破損も借主の過失だと決めつけ、フローリングの全面張替え費用を全額請求する人もいるので注意が必要です。

貸主の決めつけによる不当請求をされた場合、借主は泣き寝入りしてはいけません。

ここから紹介する5つの対処法で貸主と交渉し、減額を申し出ましょう。

対処法1.フローリング張替え費用の相場を確認する

貸主から賃貸退去時にフローリングの全面張替えを求められたら、費用相場を確認しておきましょう。

なぜなら、貸主のなかには相場よりも高額な請求をしてくる人もいるからです。

フローリング張替え一部たまは全面の料金の目安を知らないと、その金額が適正金額だと思い込み請求書にサインしてしまう恐れがあります。

ですので、複数の業者から見積もりを取り、費用を比較するようにしましょう。

対処法2.修繕内容を記載された見積書の開示を求める

貸主から高額な請求を求められたときは、修繕内容が詳しく記載された見積書の開示を求めましょう。

貸主のなかには、金額のみを表記した請求書を渡してくる人もいます。

渡された請求書にサインをしてしまうと、「支払いを同意した」とみなされ、その後の貸主との交渉が難しくなるので注意が必要です。

詳細な見積書をもらったら、借主の原状回復義務の範囲を超えた請求がないか1つずつ確認していきます。

  • フローリングの耐用年数に応じた減価償却分が考慮されていない
  • フローリング張替えの相場を大きく超えた額が請求されている
  • 納得できない費用項目がある

このような問題がある場合は、貸主と交渉し退去費の減額を求めましょう。

対処法3.貸主と交渉する

貸主から高額な原状回復費を請求された借主のなかには、穏便に引っ越しを済ませるために納得できないまま請求書にサインしてしまう人もいるかもしれません。

もし、フローリングの傷に思い当たりがあったとしても、費用に納得できないのであれば、貸主と交渉しましょう。

貸主と交渉する際には、なぜ原状回復費の金額に納得できないかを理解してもらうため、次の2つの資料を用意します。

もしかすると貸主は不正に高額な請求をしているのではなく、2020年の民法改正で定められた原状回復の範囲を知らないだけかもしれません。

そのときは、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に原状回復義務の範囲について詳しく書かれているので、それを照らし合わせながら指摘できます。

また、フローリングの傷が借主のつけた傷なのか、経年劣化によるものなのかは、プロでないとわからないこともあるでしょう。

フローリングの修繕内容に納得できないときは、複数のリフォーム会社にフローリング修繕の訪問見積もりを依頼するのがおすすめです。

業者の訪問時にはスマートフォンのカメラでフローリングの傷を撮りながら、プロに傷は借主の故意によるものか、経年劣化によるものか、尋ねて記録するとよいでしょう。

また受取った見積書は貸主に提示し、請求された金額が高額であるときはなぜその金額になったのかを確認することもできます。

対処法4.消費者生活・国民生活センターに相談する

貸主が交渉に応じてくれないもしくは、交渉しても減額に応じてもらえない場合は、消費者・国民生活センターに相談しましょう。

消費者・国民生活センターでは、「賃貸住宅の敷金・原状回復トラブル」の相談を受けています。

2021年には8,759件もの相談が寄せられており、豊富な対応実績を持っているので安心です。

「高額な退去費用を請求されたが貸主との交渉がうまくいかない」と相談すれば、解決に向けてさまざまなアドバイスをもらえるので、困ったときは電話してみましょう。

(参考:賃貸住宅の敷金・原状回復トラブル|国民生活センター

対処法5.民事調停に申し込む

消費者生活・国民生活センターに相談したあとも、貸主が退去費用の減額に応じなかった場合は、民事調停への申込みを検討しましょう。

民事調停では専門家や裁判官が借主と貸主の間に入り、問題解決のサポートをします。

民事調停の流れは次の通りです。

貸主がフローリングの修繕費を負担するケース

  1. 簡易裁判所で申立てをおこなう
  2. 調停日の指定
  3. 借主・貸主の双方の呼び出し
  4. 調停期日

民事調停にかかる手数料は、訴訟で1,000円、調停で500円と少額でおおむね3ヶ月以内に調停が成立します。

もし、民事調停でも解決しなかった場合は、少額訴訟に切り替えて裁判を起こすことも可能です。

ただ、裁判を起こすと費用がかかるので、調停までに解決できるよう努めましょう。

(参考:民事調停手続|裁判所

6.退去時にかかるフローリングの張り替え費用を抑える方法はある?

6.退去時にかかるフローリングの張り替え費用を抑える方法はある?

前の見出しでは、フローリングを自分で全面張り替えするのは禁じられているということを紹介しました。

では、実際に賃貸の退去時にフローリングの張替えをする必要性が出てきた場合、その費用を少しでも抑えたいという人がほとんどのはず。

次はフローリングの張替え費用を抑える方法について紹介していきます。

  • 小さい傷は自分で補修する
  • 傷をつけないように事前に予防しておく
  • 相見積もりを取る

入居中からやっておくべきことも内容に含まれていますが、退去時の張替え費用を抑える効果的な方法です。

1つずつ、見ていきましょう。

方法1.小さい傷は自分で補修する

フローリングについた小さな傷であれば、自分で補修をして賃貸退去時の費用を抑えることができます。

ただし、賃貸契約における原状回復義務を遵守する必要があるため、適切な方法で行うことが大切です。

例えば、小さい傷であればホームセンターで購入できる補修キットを使用して、フローリングの小傷を自分で補修ができます。

しかし、床板の交換や大きな傷の補修は、DIYでは難しい場合が多く、プロではない借主が勝手にフローリングを張り替えることで、逆にさらなる全面張り替えの必要性が出る可能性があるのです。

ですので、フローリングの補修は小さい傷の場合のみ行うようにしてください。

もし、補修に自信がない場合や大規模な修繕が必要な場合は、プロの業者に依頼することを検討しましょう。

方法2.傷をつけないように事前に予防しておく

賃貸物件のフローリングに傷をつけないように、入居中に事前に予防策を講じておきましょう

たとえば、家具や椅子の足にフェルトパッドを付ける、床にラグやカーペットを敷くなどが挙げられます。

また、ペットを飼っている場合は、爪を切る、トイレトレーニングを徹底するなどして、フローリングにダメージを与えないようにしましょう。

入居中に、フローリングにつく傷や汚れの対策ができれば、退去時に全面張り替えをする必要性が出ず、高額な修繕費を支払わずに済みます。

方法3.相見積もりを取る

賃貸退去時にフローリングの全面張替えを検討する場合、複数の業者に依頼して費用を比較しましょう。

相見積もりを取ることで、費用の比較が出来て、不当に高い料金を支払う可能性が減らせるからです。

相見積もりを取る際は、値段だけでなくサービスの内容やスタッフの対応の良し悪しも加味した上で頼む業者を決めましょう。

値段の安さのみで決めず、総合的に良い業者を選ぶことで、業者選びに失敗する可能性が減らせます。

7.賃貸退去時に高額な修繕費を請求されたら私たちブルークリーンにご相談ください

5.賃貸退去時に高額な修繕費を請求されたらブルークリーンにご相談ください

賃貸退去時に借主は、原状回復費を支払う必要があります。

しかし、原状回復の費用負担は、借主が過失で破損や汚した範囲に限るため、全額支払うケースはほとんどありません。

もし、貸主から高額な修繕費を請求されてお困りの場合は、私たちブルークリーンにご相談ください。

経験豊富なスタッフがお客様の部屋を訪問し、詳細な見積もりを作成いたします。

見積書をもって、貸主と交渉すれば原状回復費を減額できるかもしれません。

2,000件以上の清掃実績、お客様に寄り添うサービスの実績が誇りです。

最短で即日の対応も可能ですので、貸主から高額な請求を急かされて困っている場合も問題なく訪問できます。

LINEや電話で無料の相談もご利用いただけますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

賃貸のフローリングの全面張替えは業者に任せよう

賃貸物件の借主は、退去時に過失で汚したフローリングの修繕にかかる費用を原状回復費として支払う必要があります。

しかし貸主のなかには、借主の過失以外の経年劣化の汚れや破損分も原状回復費として請求する人もいるかもしれません。

原状回復費が高額で納得できないなら、請求書にサインせず貸主と交渉しましょう。

業者にフローリング修繕費の見積もり依頼し、貸主に提示すれば交渉をより有利に進められます。

新たな気持ちで新天地に行くためにも不正請求に応じず、粘り強く貸主と交渉をしましょう。

監修者 鈴木亮太(すーさん)

ブルークリーン株式会社

カスタマーサービス部所属

▶経歴
・公益社団法人日本ペストコントロール協会ペストコントロール技能師
・3,000件以上の孤独死案件に携わる

▶メディア出演
・「ABEMA 変わる報道番組 #アベプラ【公式】」ABEMA
・「田村淳の地上波ではダメ!絶対!」BSスカパー
日刊SPA!
bizSPA!フレッシュ
・「Channel恐怖」Aamzon prime video

賃貸物件のフローリング張替えでよくある質問のまとめ

最後に、賃貸物件のフローリング張替えに関するよくある質問をまとめました。

Q1.借主がフローリングの修繕費用を負担するケースはある?

借主は自らの過失でフローリングを汚したり、破損したりした場合、その箇所の修繕費を負担する必要があります。

Q2.フローリングの全面張替えを退去前に自分でやっても良い?

NGです。

賃貸物件をどのような方法で、どこに依頼しどの程度修繕するかを決めるのは、貸主になります。

Q3.フローリング全面張替え費用を請求されたときはどう対処するのが良い?

まず相場を確認して見積書を開示してもらいましょう。

その後、貸主と料金の交渉をして応じられないのであれば消費者生活・国民生活センターに相談したり、民事調停をします