「死に支度としての身辺整理で何をすれば良いのだろう?」とお悩みですね。
将来を見据えて、死に支度をすることは簡単なことではありません。
そして、あなたがいま考えている身辺整理は、家族の負担を減らすことができる大切なアクションです。
しかし、実際には「余計なものを残してしまい、子供などの家族に迷惑をかけてしまう」ことが多くあります。
例えば、面倒な手続きや処分が必要になったなどです。
そうならないために、死に支度でやらなければいけない整理を大きく分けて6つ紹介します。
- 財産
- 人間関係
- 利用サービス
- 不用品
- 思い出の品
- デジタルな物
それぞれ「もしものとき」に備え、死に支度の身辺整理として片付けておきましょう。
具体的にお話していくので、読みながらでもぜひスタートしてみてください。
▶経歴
・公益社団法人日本ペストコントロール協会ペストコントロール技能師
・YouTube「特殊清掃CH|すーさん」登録者5.3万人
・IICRC認定テクニシャン(CCT)
・Goldmorr認定テクニシャン
・JRES認定テクニシャン
・3,000件以上の孤独死案件に携わる
▶メディア出演
・「ABEMA 変わる報道番組 #アベプラ【公式】」ABEMA
・「日刊SPA!」定期連載中
・bizSPA!フレッシュ
・「田村淳の地上波ではダメ!絶対!」BSスカパー
・「Channel恐怖」Amazon prime video
1.“死に支度”として身辺整理を考えるべき理由とは
「もしも」の備えとして、自分自身の身の回りを整理しておくことは、今や特別なことではなく“生き方の選択”のひとつです。
身辺整理をしておくことで、あなたが大切にしてきた物や人との関係を、自分の意思で整えることができます。
これは決して「死に向けた準備」というネガティブなものではありません。
むしろ、残された家族が手続きを迷わず進められるようにしたり、突然の出来事で混乱しないように支える“未来へのやさしさ”ともいえるでしょう。
反対に、何も整理されていない状態で突然の別れを迎えてしまうと、家族は遺産の扱いや契約の解約、さらには人間関係の整理まで多くの負担を背負うことになります。
だからこそ、本記事では「最低限これだけはやっておきたい」というステップをわかりやすくお伝えします。
限られた時間の中でも、無理なく進められる内容になっていますので、ぜひご自身の“今”に重ねながら読み進めてみてください。
2.最低限これだけは!死に支度でやるべき2つの整理
死に支度として身辺整理をするなら必ずやっておかなければいけないことは次の2つです。
- 財産の整理
- 人間関係の整理
難しいものではないですから、ぜひ試してみてください。
(1)財産の整理
まずは、財産の整理から始めましょう。
死後の財産の整理を、本人以外が進めるには多くの手続きが必要です。
そこで、迷惑やトラブルの原因になる前に、財産を正しく調べて死に支度として整理しておきます。
ここで言う財産とは、以下のものです。
- 現金や銀行預金
- 株
- 借金
- 不動産、車
- ローン、クレジット
- ネット銀行、ネット証券
では、着実に整理していくための手順を見ていきましょう。
手順1.保有資産を書き写そう
自分の保有資産を、エンディングノートやスマホのメモなどに書き写しましょう。
例えば、現金や銀行口座にいくら入っており、いくらの借金やローンが残っているのかなどです。
また、固定資産はどれくらいあるのかも知っておくことで家庭の財産状況がわかります。
まずは調べて知ることで、残される家族の今後の計画を立てやすくするのです。
何かあった時のために、以下の内容や場所を家族に伝えられるようにしておこう
- 通帳
- 印鑑
- 取引先の金融機関名
- キャッシュカード
- 暗証番号
- どの保険に入っているか
- 証書はどこにあるのか
まとめることができ、用意ができれば処分を始めていきます。
手順2.処分ができる財産は処分しておこう
調べたものを確認し、処分できる財産は早めに処分しておきましょう。
家族に残したいという資産以外は、処分の対象としてしまうのです。
本人以外が財産を処分する場合、複雑な手続きが必要となるものが多くあります。
この機会に自分自身で財産の処分をしておくと、家族が面倒な手続きをしなくて済むわけです。
何を整理すべきか悩んだときには、以下のものから選んでみましょう。
- 使用してない口座
- 期限切れの証書
- 不動産
- 車
不動産や車は処分することで今後の蓄えにもなるため、不必要なのであれば先に処分しておくと良いですね。
死に支度の身辺整理として、財産をわかりやすく綺麗な状態にしておくとトラブルを未然に防ぐことができるでしょう
関連記事:生前整理、始めるなら今?後悔しないための手順と“絶対選んではいけない”業者の見極め方
(2)人間関係の整理
人間関係の整理は、自分の残りの人生を考える上で最も大切な整理です。
トラブルなどのリスクの大半は、人間関係によるものが多くあります。
人間関係の整理方法は、以下の2つに分けて進めるとやりやすいです。
- 周りの人間関係を整理
- 相続人を明確に
軽視せずにしっかりやっておきましょう。
手順1.まずは人間関係の棚卸しから始めましょう
これまでの人生で築いてきた人間関係を一度見直してみましょう。
もしも和解しておきたい相手がいるなら、思い切って連絡を取ってみるのもひとつの選択です。
逆に、今後の人生において関係を続ける必要のない相手とは、無理に関わる必要はありません。
大切なのは、「これからの人生を誰と過ごしたいか」を自分自身で明確にすることです。
そうすることで、人生の残り時間をより大切に、有意義に使えるようになります。
また、関係性を整理しておくことで、死後に起こり得る人間関係のトラブルや誤解を未然に防ぐことにもつながります。
「もし最期に会えるならこの人に会っておきたい」と思う人がいれば、ぜひその気持ちに素直になってください。
人間関係がある程度整理できたら、次に考えるべきは“誰に何を遺すか”です。
手順2.相続人と財産の行方を明確にしておきましょう
遺された家族が相続で揉めないようにするためにも、誰が相続人となるのかをしっかり把握しておくことが重要です。
ときには、故人との関係性を主張して突如現れる人が財産分与を求めてくるケースもあります。
そうした事態を防ぐには、事前に人間関係と相続の線引きをしておくことが効果的です。
もし財産の内容に不動産や骨董品など、分けにくい資産が含まれる場合は、遺言書を準備しておくとよいでしょう。
さらに、財産の配分や意向を決めたら、できるだけ家族に伝えておくことで、後の混乱を防ぐことができます。
以上が、死に支度として最低限やっておくべき身辺整理の2つの手順です。
この2つだけでも十分に意味がありますが、可能であればさらに整理すべきことはたくさんあります。
生きているうちに整理を進めておくことで、ご自身にとっても、ご家族にとっても「心のゆとり」と「安心」を生み出す大切な準備となるでしょう。
3.できる範囲で進めたい!余裕があればやっておくべき4つの準備
ここまで、最低限必要な死に支度の身辺整理についてお話してきました。
「ほかにも身辺整理って何があるの?」
「全部でどんな整理があるの?」
と疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。
余裕があるならやっておきたい身辺整理は大きく分けて4つがあります。
- 利用サービスの整理
- 不用品の整理
- 思い出の品の整理
- デジタルな物の整理
これらの整理をしっかりしておくことで、自分の「もしも」に備えることができます。
もし必要と感じたなら、それぞれ確認して整理してしまいましょう。
4.利用中サービスの整理で、家族の負担を減らす
利用している有料サービスと料金を明記しておきましょう。
リストがあることで、遺族が解約や名義変更をする際にスムーズです。
具体的には、以下のようなサービスを使っている場合に、そのサービスの連絡先をまとめておきましょう。
- 携帯電話
- 公共料金
(電気・ガス・水道・NHK) - インターネット
- ネットサービス
特に、公共料金とネットサービスは解約し忘れることが多く、無駄な出費になりやすいです。
そこで、整理するときのポイントを紹介するので参考にしてみてください。
(1)公共料金の支払先などはメモしておこう
電気、ガス、水道といった公共料金の支払先をメモしておきましょう。
例えば、会社名と連絡先をメモしておけば、死後すぐに解約することができますよね。
死に支度の身辺整理では、こうした解約の手間を無くしておくのも大切です。
放っておくと無駄にお金がかかってしまうため、すぐに解約できるようにしておきましょう。
(2)ネットサービスの解約の方法をメモしておこう
AmazonやNetflix、Spotifyなどの動画・音楽配信サービス、さらにはスマホのアプリ課金やクラウドストレージなど、日常的に使っているネットサービスは意外と多いものです。
これらのサービスは自動更新が基本のため、契約者本人以外が気づかずに放置してしまうと、使っていないのに延々と料金が引き落とされることになります。
そのため、利用中のサービス名・ID・パスワード、そして解約の手順について、分かりやすくメモや一覧にして残しておくことが大切です。
特にネット系の契約は紙の契約書が存在しない場合が多く、他人があとから調べて解約しようとしても非常に手間がかかります。
公共料金の支払いと同様に、引き落とし元の口座やクレジットカード情報とあわせて、確実に解約できるように整理しておきましょう。
5.不用品は“感情”でなく“優先度”で分ける
不用品の整理も、死に支度の身辺整理では忘れがちなものです。
結論から言うと、あなたの所有物の中で後族に残さない物は処分してください。
故人のコレクションや物は、遺族が整理する際に大変処分に困る物の1つです。
あなたにとって価値があるものでも、残された家族からすれば不用品として見えるかもしれません。
なるべご自身で整理しておくと、残された家族に余計な悩み事を残さずに済みます。
不用品の整理を簡単にするなら以下2つの手順がおすすめです。
- 処分するモノと残しておくモノに分別しよう
- 処分する業者を呼ぼう
順に見ていきましょう。
(1)処分するモノと残しておくモノに分別しよう
簡単に処分するために、処分するモノと残しておくモノに分けます。
残す物の中には、価値や値がつく物はもちろん、自分が趣味で集めていた物や思い出の物でも構いません。
しかし、あまりにも物が多いと場所をとってしまうため、家族と相談しながら決めるようにしましょう。
そして処分するものは、適性な処分方法で片付けていくのです。
(2)処分する業者を呼ぼう
もし、家電や家具といった大きなゴミを処分するならプロの業者に依頼しましょう。
大きな不用品は、自力で運ぶことが困難です。
業者に頼むことで、家まで取りにきてくれます。
さらに、価格がつきそうな物はその場で査定して買い取ってくれるため、手間が省けて便利です。
もし、依頼費用が心配なら無料相談で見積もりをもらってから考えてみてください。
6.思い出の品を残す・手放す…その選び方のヒント
思い出の品は、死に支度の身辺整理の中で一番時間と気力を消耗する作業です。
始めに手をつけると思い出に浸ってしまい、時間がかかってしまうため、最後にじっくり行うようにしてください。
例えば、以下のような思い出の品はないでしょうか。
- 学生時代のアルバム
- トロフィーや賞状
- コレクション
つい思い出に浸ってしまう・簡単に片づけたいという人は、以下で紹介する2つの手順を試してみてください。
(1)捨てるモノと残すモノを分けよう
まずは、「残すモノ」と「手放すモノ」を明確に分けるところから始めましょう。
思い出の詰まった品々は、どうしても手放す決断が難しいものですが、すべてを残してしまうと保管スペースに困り、かえってご家族にとって負担になることもあります。
本当に必要か、自分にとって意味のあるものかどうかを一つひとつ見直しながら、未来の家族のために取捨選択をしておくことが大切です。
(2)物によってはリサイクルを検討しよう
趣味のコレクションや装飾品など、状態が良く再利用できそうなものは、リサイクルや買取の活用も視野に入れてみましょう。
買い取られた品物は、必要とする別の人の手に渡ることで、また新たな価値を持ち続けてくれます。
売却によって得たお金は、生活費の補填や将来のための備えにもなります。
「捨てる」のではなく「託す」という考え方で、気持ちの整理もつけやすくなるかもしれません。
7.スマホやPCの中身も要注意!デジタル遺品の整理方法
もし、スマートフォンやパソコンなどのデジタルな物があるなら、整理を終わらせておきましょう。
個人情報など削除しておくと良いものがたくさん詰まっているからです。
削除する情報と残す情報に分けて早めに整理しておきましょう。
具体的に削除しておきたいものを紹介するので、参考にしてみてください。
(1)SNSの整理をしよう
X(旧Twitter)やFacebookなど、利用中のSNSアカウントについても、身辺整理の一環として見直しておきましょう。
基本的には、今後使う予定がない場合や、死後の個人情報の保護を考えるなら、アカウントを削除するのが望ましい対応です。
放置されたアカウントが悪用されるリスクもあるため、きちんと対処しておくことが大切です。
ただし、一度削除すると、投稿した内容や写真、つながりなどの記録はすべて失われてしまいます。
思い出として残したい情報がある場合は、事前にバックアップを取るなど、十分に考えたうえで削除を検討してください。
(2)データの整理をしよう
データを整理して必要なモノと削除するモノに分けましょう。
ここで言う、データとは以下のものが代表的です。
- 写真
- 動画
- 人の連絡先
- メール
写真や動画は思い出になるのなら、家族に送っておいたり、DVDやフラッシュメモリーに写しておくなど「いつでも見れる状態にしておく」のがおすすめです。
人のメールアドレスや連絡先は、必要な時のためにどこかに控えておきましょう。
最後に、必要ないデータは情報の悪用を防ぐためにもしっかりと削除しておいてください。
関連記事:【専門家が解説】遺品整理で“デジタル遺品”はどうしたらいい?後悔しないための対処法と注意点
8.不用品の片付けに困ったら、業者に相談するという選択肢も
ここまで、死に支度の身辺整理でやっておきたいことをご紹介してきました。
整理するのは残したいものだけではありません。
もし残される家族にとって不要なものを残してしまうと、子供や相手に迷惑をかけてしまいます。
あなたがいる今のうちに、捨てられない物があるなら業者に頼んで処分しておいてください。
「これは必要かな?」
「処分したいけど片付けられない」
このように考えたなら、業者に依頼するのも一つの手です。
死に支度の身辺整理は、とても大変なことですよね。
しかし、残されることになる人のことを考えて、片付けられないなら業者への依頼も考えておきましょう。
片付けをしたいけど本当に業者に頼むレベルなのかと思い、迷っている人もいるはずです。
結論から言うと、少しでも業者に頼みたいという気持ちがあれば、相談だけでも良いので連絡してみるのが良いでしょう。
以下の記事で、部屋の片付け業者の相場や依頼前に知るべき注意点も紹介しているので、併せてご確認ください。
9.まとめ|“死に支度の整理”は、自分らしく生ききるための準備
この記事では、「死に支度」としての身辺整理についてご紹介してきました。
財産や契約、人間関係、思い出の品などを整理しておくことは、残される家族の負担を減らすだけでなく、これからの人生をより自由に、自分らしく過ごすための準備でもあります。
「まだ早い」と感じるかもしれませんが、整理は心の棚卸しでもあります。
今のうちに向き合っておくことで、これからの生き方や人とのつながりを見直すきっかけにもなるはずです。
あなたの人生がより豊かで、悔いのないものであるように。
“死に支度の整理”は、終わりの準備ではなく、残りの時間をどう生ききるかを考えるための第一歩なのです。
付録.死に支度の整理に関するよくある質問【Q&A】
最後に、よくある質問についてまとめました。
死に支度として、最低限やっておくべき身辺整理とは?
財産は相続トラブルを避けるために、誰に何を残すのかを明確にしておくことが重要です。
人間関係は、会っておきたい人や関係を整理したい人を見極めておくことで、心残りのない最期を迎えられます。
余裕があればやっておくべきことはある?
以下のことを行いましょう。
- 利用サービスの整理
- 不用品の整理
- 思い出の品の整理
- デジタルな物の整理
不用品の整理をする手順が知りたい
以下のステップで行いましょう。
- 処分するモノと残しておくモノに分別
- 処分する業者を呼ぶ