家の中で下水のような臭いがすると、生活の快適さは一気に下がります。特に原因がわからないまま臭いが続くと、「どこか壊れているのでは?」「業者を呼ぶべき?」と不安になってしまいますよね。
結論から言うと、下水の臭いが上がってくる原因の多くは排水トラップの異常・汚れの蓄積・排水管の破損です。これらは、正しく原因を見極めれば自分で対処できるケースも少なくありません。
本記事では、下水の臭いが発生する仕組みから、家中が臭うときの具体的な対策、清掃しても改善しない場合の判断基準までを分かりやすく解説します。「まず何をすればいいのか知りたい」という方は、ぜひ最後まで参考にしてください。
- 家の中で下水の臭いがする原因
- 下水臭を取るための対処法
- 下水の臭いの解消には業者への依頼がおすすめな理由
下水の臭いが上がってくるのはなぜ?主な3つの原因

下水の臭いが室内に上がってくるのは、本来臭いを防ぐはずの「排水まわりの仕組み」がうまく機能していないためです。
原因は一つだけでなく、排水口の状態や日常的な使い方など、複数の要因が重なって起きることがほとんどです。
ここでは、下水の臭いが発生しやすい代表的な原因を3つ解説します。
排水トラップの封水切れ
下水の臭いが家の中に上がってくる原因の中でも特に多いのが、排水トラップの封水切れです。
排水口の下には、下水の臭いが室内に上がってこないようにするための「排水トラップ」があります。
排水トラップは、配管の途中にカーブを作り、その曲がった部分に水が溜まる構造になっており、ここに溜まっている水のことを「封水(ふうすい)」といいます。
封水がフタの役割を果たし、下水管から上がってくる臭いや、害虫が室内へ侵入するのを防いでいるのです。
しかし、排水トラップの封水はいくつかの原因により機能しなくなってしまうことがあります。
まず、長期間水を使っていない場合です。排水トラップ内の封水は、時間が経つと少しずつ蒸発していきます。使用頻度の低いところでは、蒸発によって封水が減り、最終的に切れてしまうことがあるのです。
封水が切れると排水トラップの役割が果たせなくなるため、下水管と室内が直接つながった状態になり、下水の臭いがそのまま室内に上がってきてしまいます。
もう一つの原因が、排水時に起こる「サイフォン作用」です。サイフォン作用とは、排水管内を水が勢いよく流れることで気圧が変化し、排水トラップ内の封水が引き込まれてしまう現象の総称です。
なお、サイフォン作用には種類が2つあります。以下の表で詳しく見ていきましょう。
| 特徴 | 自己サイフォン | 誘引サイフォン(誘引現象) |
|---|---|---|
| 発生の原因 | 自分が流した水の勢い | 他人(他の場所)が流した水の勢い |
| 場所 | その排水器具そのもの(洗面台など) | 同じ排水管につながっている別の場所(上階・隣の住戸など) |
| 仕組み | 流れる水が、封水も一緒に流してしまう | 別の場所の排水で生じた負圧が影響し、自分の排水トラップの封水が引き抜かれる |
| 発生例 | 洗面台や浴槽で一気に水を流した直後に、ゴボゴボ音がして臭いが出る | マンション等で上の階の人が大量に排水したときに臭いが出る |
このように、排水トラップの封水切れは、長期間使っていないことによる蒸発と、排水時に起こるサイフォン作用の大きく2つが主な原因です。
どちらの場合も、封水が失われることで下水管と室内の間にフタがなくなり、下水の臭いが直接上がってきてしまいます。
排水口や排水トラップに溜まったゴミ
排水口や排水トラップに溜まったゴミも、下水臭の大きな原因です。髪の毛、皮脂汚れ、洗剤カス、食べカスなどが蓄積すると内部で腐敗し、下水のような臭いを発生させます。
特に注意したいのが洗濯機の排水口です。普段見えにくく掃除の頻度が低いため、汚れが溜まりやすい傾向があります。
また、ゴミが水分を吸い上げる「毛細血管作用(毛細管現象)」によって、封水の水分が失われてしまうことにも気を付けなければいけません。
この現象は一度に大量の封水が失われるわけではありませんが、時間をかけて封水が減少し、結果として下水の臭いが上がってくる原因となります。
排水トラップや排水管の破損
排水トラップや排水管の破損も下水の臭いが上がってくる主な原因の一つです。
排水トラップや排水管の破損とは、割れて完全に壊れている状態だけを指すわけではありません。小さなひび割れや接続部分の隙間、パッキンの劣化やズレといった、見た目では気付きにくい不具合が原因でも下水臭が漏れ出します。
例えば、排水トラップと排水管のつなぎ目に使われているゴム製のパッキンは、経年劣化で固くなったり縮んだりします。その結果、水漏れがなくても、臭いだけが隙間から上がってくることは珍しくありません。
また、ナットの緩みや施工時の不具合が原因で、配管同士にわずかな隙間ができているケースも同様です。このような状態では、排水口を掃除しても臭いは改善せず、時間が経つと再び臭いが戻ってしまいます。
自分で見える範囲に異常がなく何度対処しても臭いが消えない場合は、床下や壁の中にある配管やパッキンの劣化が原因の可能性が高いです。無理に分解せず、専門業者に点検を依頼するのがよいでしょう。
家中が下水臭いときにできる4つの対策

家中が下水臭いと感じたときは、原因を一つずつ確認しながら対処していきましょう。自分でできる基本的な対処法として、以下4つを紹介します。
- まずは下水の臭いのもとを特定する
- 封水を補充する
- 排水口や排水管を掃除する
- 排水トラップや排水管を補修する
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
まずは下水の臭いのもとを特定する
最初に行うべきなのは、臭いの発生源を特定することです。キッチン、洗面台、浴室、トイレ、洗濯機周りなど、水回りを一つずつ確認します。
以下の表では、それぞれの場所でチェックすべきポイントをまとめましたので、臭いのもとを特定する際に参考にしてください。
| 場所 | チェックポイント |
|---|---|
| キッチン | ・排水口の近くから下水の臭いがしないか ・排水トラップにワン(防臭用のフタ)が付いているか ・シンク下の収納物が排水管に当たっていないか(排水管の接合部やパッキンがズレていないか) ・排水管が汚れていないか |
| 洗面所 | ・排水口の近くから下水の臭いがしないか ・シンク下の収納物が排水管に当たっていないか(排水管の接合部やパッキンがズレていないか) ・オーバーフロー穴が汚れていないか ・ヘアキャッチャーに髪の毛が溜まっていないか |
| トイレ | ・トイレの中から下水の臭いがしないか ・便器内の水位が普段より低くなっていないか(封水切れ) ・便器と床の隙間に汚れが溜まっていないか ・便器のフチ裏やノズル周辺が汚れていないか |
| 浴室 | ・排水口の近くから下水の臭いがしないか ・排水口に髪の毛や石鹸カスが溜まっていないか ・排水口や床排水にヌメリが出ていないか |
| 洗濯機 | ・排水口の近くから下水の臭いがしないか ・排水トラップが設置されているか ・排水口内部に汚れや糸くずが溜まっていないか ・封水切れを起こしていないか |
臭いの発生源を特定できれば、封水の補充や掃除といった適切な対策で改善できる可能性があります。
まずは家のどこから下水の臭いが上がってきているのかを探してみましょう。
封水を補充する
封水切れが疑われる場合は、排水口にコップ1杯分の水を補充してみましょう。なお、洗面台や浴室の排水口にはバケツ2杯程度の水を、洗濯機の排水口にはバケツ1杯程度がおすすめです。
トイレであれば、通常は一度流せば十分ですが、便器内に残る水が極端に少ない場合は注意が必要です。この場合、タンク内部の不具合や水量不足が原因で、十分な封水が確保できていない可能性があります。
こういったケースでは、タンク内の部品の状態を確認するか、改善しない場合は専門業者に相談するとよいでしょう。
排水口や排水管を掃除する
排水口や排水管の汚れが原因の場合は、定期的な掃除が臭い対策として有効です。普段から排水口にたまったゴミや髪の毛を取り除くだけでも、臭いの予防につながります。
週1回の清掃では、重曹(100g)とクエン酸(50g)を混ぜたものを排水口に入れ、200mlほどのぬるま湯を注いで30分ほど置きましょう。その後、キッチンなら60℃前後、浴室や洗面所などは40〜50℃程度のお湯で流します。
また、月1回を目安に市販のパイプクリーナーを使うと、排水管の奥にたまった汚れまでしっかり除去可能です。キッチンにはアルカリ性、浴室や洗面所には酸性タイプを選び、使用時は必ず換気とゴム手袋を忘れないようにしましょう。
排水トラップや排水管を補修する
排水トラップの接続部分が緩んでいるだけであれば、レンチで締め直すことで解消する場合もあります。また、小さな隙間や穴であれば、隙間用のパテなどを使って一時的にふさぐことも可能です。
ただし、破損の範囲が大きい場合や、床下・壁の中にある配管に問題がある場合は、自己判断での補修はかえって状況を悪化させることがあります。
市販の補修材では根本的な解決にならないこともあるため、無理に対応しようとせず、早めに専門業者へ相談するのがおすすめです。
下水の臭いが解消されない場合は業者への依頼がおすすめ
下水の臭いがなかなか解消されない場合は、専門業者への依頼を検討するのがおすすめです。掃除や封水の補充といった基本的な対策を行っても改善しないのであれば、排水管の奥や床下など、目に見えない場所でトラブルが起きている可能性があるからです。
原因がはっきりしないまま放置してしまうと、臭いが強くなるだけでなく、配管の劣化や水漏れにつながることもあります。時間が経つほど症状が悪化するケースもあるため、早めの対応が重要です。
「何度掃除してもすぐに臭いが戻る」「どこから臭っているのか分からない」と感じた場合は、無理に自分で対処しようとせず、専門業者に調査を依頼してみましょう。業者であれば、専用の機材を使って原因を特定し、状況に合わせた適切な対処を提案してくれます。
下水の臭いでお困りならブルークリーンへご相談を

家の中に下水の臭いが上がってきて困っている場合は、ぜひブルークリーンへご相談ください。
ブルークリーンでは、下水の臭いの原因調査から除去、再発防止までを一貫対応しています。
- 原因調査(発生源の特定)
排水トラップの干上がり、排水管の漏れ・逆流、汚水桝・排水桝の汚れ、床下の汚水滞留などを確認します。あわせて床下環境や相対湿度を測定し、臭いが戻りやすい状態かどうかを数値で把握します。必要に応じて、臭気成分の特定も可能です。 - 汚染物の除去・回収
汚水や汚泥、臭いの原因となる汚染物を回収・撤去します。紙類・布・断熱材表層など、臭気を吸着しやすい素材がある場合は除去や補修を提案し、原因を物理的に遮断します。 - 洗浄・除菌・分解処理
排水まわり、排水管内部、床面、壁の下部、床下などを高圧洗浄で洗浄します。下水臭の原因となる有機汚れや残留物を分解し、必要に応じて除菌処理を併用します。 - 乾燥・環境調整
臭気の再発やカビを防ぐため、除湿・送風による強制乾燥を実施します。床下や閉鎖空間では、この工程が仕上がりの品質を左右します。 - 消臭仕上げ
汚染源を取り除いたうえで、状況に適した消臭・防臭処置を行います。臭いが戻らない状態をつくるための最終工程です。 - 効果確認(必要時)
臭気の残りや環境状態を確認し、追加対策が必要かどうかを判断します。ご希望があれば、内容を整理した報告も可能です。
これらの工程により、いち早く快適な住まいを取り戻すことが可能です。
なお、当社にご依頼いただいた場合の費用の目安は、以下のとおりです。
| 状況・作業内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 原因箇所の特定 → 局所清掃・洗浄・除菌 → 仕上げ消臭 | 3万円〜7万円前後 |
| 原因特定 → 汚染面の拭き取り・洗浄・分解処理 → 必要に応じ乾燥 → 仕上げ消臭 | 8万円〜15万円前後 |
| 原因特定 → 汚水・汚泥回収 → 床下清掃・洗浄・除菌 → 強制乾燥 → 仕上げ消臭 | 15万円〜30万円前後 |
| 上記に加えて、桝清掃・詰まり対応など | 上記+数万円〜(内容次第) |
具体的な費用については、被害や住宅の状況によっても異なりますので、まずは一度お気軽にご相談ください。経験豊富なスタッフが現地調査を行ったうえで最適なプランをご提案させていただきます。
家の外が下水臭いときの原因・対処法は?

家の中ではなく、屋外で下水のような臭いを感じる場合、排水溝や排水桝にゴミや汚れがたまっていることが原因のひとつとして考えられます。落ち葉や土、生活ゴミなどが詰まると水の流れが悪くなり、臭いの発生を引き起こすためです。
また、雨のあとなどにマンホール周辺から強い臭いがする場合は、下水が一時的にあふれたり、通気がうまくいっていない可能性もあります。このようなケースは、個人で対処できないことが多く、無理に触るのは危険です。
排水溝や排水桝の簡単な清掃で改善しない場合や、マンホール付近から明らかに異常な臭いがする場合は、各自治体の窓口に相談し、指示を仰ぐようにしましょう。
下水の臭いに関するよくある質問
下水の臭いについては、「自分で対処できるのか」といった疑問を持つ方も多いです。ここでは、特によく寄せられる質問について、わかりやすく解説します。似たような疑問をお持ちの方は、ここで解消しておきましょう。
パイプユニッシュは下水の臭いに効果がありますか?
パイプユニッシュなどの排水管用洗浄剤は、排水管内部にたまった汚れやぬめりが原因の場合には、一定の効果が期待できます。特に、キッチンの油汚れや浴室の石けんカスなどが原因の臭いには有効です。
ただし、排水トラップの不具合や排水管の破損、床下に原因がある場合には、洗浄剤を使っても臭いが改善しないことがあります。何度使っても臭いが取れない場合は、別の原因を疑い、専門業者への相談を検討しましょう。
「排水口」と「排水溝」の違いとは?
「排水口」は、キッチンや浴室、洗面所など、建物の中で水が流れ込む入口部分を指します。一方で「排水溝」は、屋外にある側溝や、敷地内・道路沿いに設置された水の通り道を指す言葉です。
どちらも水を流す役割がありますが、場所や構造が異なるため、臭いの原因や対処法も変わってきます。屋内の臭いは排水口まわり、屋外の臭いは排水溝や排水桝、下水設備に原因があることが多いのが特徴です。
まとめ
下水の臭いは、排水口まわりの汚れなど身近な原因から、排水管や床下、屋外設備のトラブルまで、さまざまな要因で発生します。
軽い症状であれば、ご家庭での掃除や洗浄で改善することもありますが、対処をしても臭いが繰り返し発生する場合や、原因がはっきりしないケースも多いです。
そのようなときは、無理に自分で解決しようとせず、下水臭対策の専門業者に相談することをおすすめします。専門業者であれば、目に見えない部分まで原因を調査し、状況に合わせた適切な対処を提案可能です。
▶経歴
・YouTube「特殊清掃ch|すーさん」登録者5.3万人
・ペストコントロール技能師(日本ペストコントロール協会)
・IICRC認定テクニシャン(CCMT/OCT)
・Goldmorr認定テクニシャン(カビ除去スペシャリスト)
・JRES認定テクニシャン(火災水害復旧対策訓練修了)
・横浜市栄区自治体研修(「ごみ屋敷の解消と再発防止に向けた寄り添い支援」)
・これまで8年以上4,000件以上の現場(孤独死・火災・水害・ゴミ屋敷・遺品整理など)に携わる
▶メディア出演
・「ABEMA 変わる報道番組 #アベプラ【公式】」ABEMA
・「日刊SPA!」定期連載中
・「bizSPA!フレッシュ」
・「スタジオパーソル」単独取材
・「田村淳の地上波ではダメ!絶対!」BSスカパー
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