孤独死とは、一人暮らしの人が自宅で亡くなり、その死が長期間にわたって誰にも気づかれないまま放置されることを指します。
孤独死は近年、日本社会の深刻な問題となっており、年間約3万人が孤独死していると推定されています。
孤独死が発生すると、遺体や体液による汚染や悪臭の除去、壁紙や床材の張り替えなど、物件の原状回復には多くの費用と手間がかかります。
では、この原状回復費用は誰が支払うべきなのでしょうか?
本記事では、孤独死の現場回復費用の相場と内訳、誰が払うべきかについて詳しく解説します。
孤独死に関する知識を深め、少しでも負担を軽減する参考にしてください。
▶経歴
・公益社団法人日本ペストコントロール協会ペストコントロール技能師
・3,000件以上の孤独死案件に携わる
▶メディア出演
・「ABEMA 変わる報道番組 #アベプラ【公式】」ABEMA
・「田村淳の地上波ではダメ!絶対!」BSスカパー
・日刊SPA!
・bizSPA!フレッシュ
・「Channel恐怖」Aamzon prime video
孤独死の原状回復費用は誰が支払うべき?
一般的には、借り主(遺産・保険金)が原状回復費用を負担することになります。
ただし、借り主に資産がない場合や相続人が相続放棄をした場合は、次に責任がある人に支払いを求めることになります。
以下に、支払い責任の順番を示します。
- 借り主(遺産・保険金)
- 相続人や連帯保証人
- 保険会社・保証会社
- 大家や不動産業者
この順番に沿って、原状回復費用の支払いを請求することになります。
ただし、実際に請求できる金額や範囲には制限があります。
例えば、法定耐用年数を超えた部分の修繕費用や、故人の過失によらない損耗・毀損の修繕費用は請求できません。
また、連帯保証人に対しては事前に定められた極度額以上の請求はできません。
ただし、保険会社・保証会社によっては、孤独死に関する補償内容や条件が異なるため、事前に確認する必要があります。
また、大家や不動産業者も一部の費用を負担する場合があります。
例えば、物件の再賃貸や売却のために必要な清掃やリフォームなどです。
孤独死現場における原状回復費用の相場はどれくらい?
孤独死現場の原状回復費用は、清掃する部屋の大きさや間取り、孤独死の発見までの期間、汚染や悪臭の程度などによって大きく異なります。
しかし、一般的な目安としては、10万円から70万円程度と言われています。
ブルークリーンが行った孤独死現場の原状回復にかかった費用の目安は以下のとおりです。
清掃範囲 | 費用(税込) |
---|---|
1K(23㎡)和室(発見まで1か月) | 308,000円 |
2LDK(40㎡)(発見まで3日) | 649,000円 |
部分清掃(5㎡)(発見まで2週間) | 47,300円 |
体液や血液の清掃 | 49,960〜98,000円 |
基本消臭処理(例:1K) | 16,700〜24,500円 |
消毒・除菌(例:1K) | 19,120〜22,470円 |
孤独死は誰にでも起こりうる悲しい現象です。
しかし、孤独死現場の原状回復費用について知っておくことで、少しでも負担を軽減できます。
孤独死現場で行う清掃は、特殊清掃と呼ばれるものです。
特殊清掃について、聞き慣れないという方に向けて、下記で紹介した記事もありますので、詳しく知りたい方はこちらもチェックしてみてください。
連帯保証人に請求できる孤独死現場の原状回復費用の内訳
孤独死が発生した物件の所有者である大家さんは、借主の連帯保証人に対して、さまざまな費用を請求できます。
しかし、どのような費用が請求できるのか、またその金額はどのように決まるのか、ご存知でしょうか?
ここでは、連帯保証人に請求できる孤独死現場の原状回復費用の内訳について、詳しく解説します。
- 明け渡しまでにかかる家賃
- 原状回復費用
- 事故物件化に伴う損害賠償
1つずつ見ていきましょう。
内訳1.明け渡しまでにかかる家賃
孤独死が発生した場合、明け渡しまでの期間中には家賃を支払う必要があります。
借主が死亡した時点で契約は終了せず、遺族や連帯保証人が契約を解除するまで継続します。
契約解除後、明け渡しまでに発生した家賃、共益費、管理費などの固定費用も請求される場合があります。
ただし、借主が支払えない場合、連帯保証人が支払い義務を負うことになるため、注意してください。
内訳2.管理費・共益費
「原状回復費用」とは、新しい人がすぐに住めるよう、部屋を綺麗にするための費用です。
孤独死現場では、遺体や私物の撤去費用や清掃費用だけでなく、清掃後も跡が残ることがあります。
例えば、部屋の床や壁が汚れてしまっている場合は、修復やリフォームが必要になります。
これらの費用も連帯保証人に請求できますが、「減価償却」という制度があることに注意してください。
これは、借りた人が住んでいた期間に部屋が傷んだり劣化したりすることを考慮して、費用の割合を下げることです。
減価償却により、借りた人が6年以上住んでいた場合は請求できないことに注意してください。
内訳3.原状回復費
孤独死の原因が殺人または自殺であったり、病気や老衰、事故等という自然死であったりすることで発見が遅れ、遺体の腐敗によって部屋が汚損された場合、「心理的瑕疵」となります。
心理的瑕疵とは、不動産取引において、物件に物理的な欠陥はないが、その物件にまつわる出来事や事実が、買主に精神的苦痛を与える可能性がある場合を指します。
例えば、物件で殺人事件や自殺が起こった場合や、幽霊が出るという噂がある場合などが、心理的瑕疵に該当する可能性があります。
心理的瑕疵のある物件は、いわゆる事故物件として扱われるため、資産価値が大幅に落ちます。
大家さんは借主の連帯保証人に対して、事故物件化による家賃減少分の損害賠償を求めることができます。
事故物件化による損害賠償の金額は、次のように計算されます。
- 事故物件化前の家賃×12か月分
- 事故物件化後の家賃×12か月分
- 上記の差額
例えば、事故物件化前の家賃が10万円で、事故物件化後の家賃が5万円になった場合、損害賠償額は60万円となります。
ただし、この計算方法はあくまで目安であり、裁判所の判断によって変わる可能性があります。
内訳4.汚損箇所や交換箇所の復旧費用
孤独死の現場では、遺体の腐敗や虫の発生などによって、部屋の床や壁、天井などが汚れたり、傷んだりすることがあります。
この場合、汚損箇所や交換箇所の復旧費用を連帯保証人に請求できます。
汚れや傷の程度や範囲によって異なりますが、一般的には数十万円から数百万円になることが多いです。
ただし、借主が入居してから6年以上経過している場合は、請求できないこともあります。
内訳5.畳・フローリングなどの張替え費用
孤独死の現場では、床材に汚れや傷が付くことがあります。
特に畳やフローリングなどは、遺体から漏れ出た液体や臭気によって変色したり変形したりすることがあります。
この場合、畳・フローリングなどの張替え費用を連帯保証人に請求できます。
床材の種類や面積によって異なりますが、一般的には数万円から数十万円になることが多いです。
ただし、借主が入居してから6年以上経過している場合は、請求できないこともあります。
【関連記事】退去する賃貸の畳がボロボロに…交換費用や安く抑える方法を紹介
内訳6.(事故物件化した場合)損害賠償
孤独死の原因が殺人や自殺である場合、または病気や老衰や事故等の自然死であっても、発見が遅れてしまって遺体の腐敗が発生したことで部屋が汚損された場合、「心理的瑕疵」となり、資産価値が大幅に落ちることがあります。
この場合、大家さんは借主の連帯保証人に対して、事故物件となったことによって発生した家賃減収分の損害賠償を請求できます。
損害賠償額は、物件の立地や広さ、市場価格などによって異なりますが、一般的には数百万円から数千万円になることが多いです。
ただし、損害賠償を請求するには、事故物件化によって実際に家賃が下がったことや、その減収分が連帯保証人の責任であることを証明する必要があります。
孤独死で事故物件化したら告知義務が発生する?
孤独死で事故物件化した場合、告知義務が発生するかどうかは、死因や発見のタイミング、物件の汚損の程度などによって異なります。
告知義務を怠ると、売主や貸主は法的な責任を負うことになります。
- 告知義務が課せられない場合
- 告知義務が課せられる場合
それぞれの場合について紹介していきます。
告知義務が課せられない場合
この場合、物件に心理的瑕疵(きしゃく)と呼ばれる欠陥がないと判断されます。
心理的瑕疵とは、物件の構造や機能に問題はないが、一般的に不快感や恐怖感を抱くような事実があることを指します。
例えば、自殺や殺人などの凶悪事件が起きた場合や、幽霊が出るという噂がある場合などです。
孤独死であっても、死因が自然死であったり、発見が早くて汚損がなかったりする場合には、心理的瑕疵に該当しないと考えられます。
そのため、売主や貸主は物件の購入者や借り手に対して孤独死の事実を告げる必要はありません。
ただし、購入者や借り手から孤独死に関する質問をされた場合は、正直に回答する義務があります。
告知義務が課せられる場合
この場合、物件に心理的瑕疵があると判断されます。
自然死であっても、発見が遅れて遺体の腐敗等による汚損が酷い場合には、心理的瑕疵に該当すると考えられます。
また、自殺や殺人などの凶悪事件が起きた場合も同様です。
売主や貸主は物件の購入者や借り手に対して孤独死や事件の事実を告げる義務があります。
これを告知義務と呼びます。
告知義務を怠ると、法的に「契約不適合責任」に該当し、然るべき責任を負うことになります。
契約不適合責任とは、売主や貸主が購入者や借り手に対して約束した内容と異なる物件を引き渡したり提供したりした場合に発生する責任です。
例えば、売主や貸主が物件に心理的瑕疵がないことを保証したり暗黙の了解として伝えたりした場合などです。
契約不適合責任を問われた場合、売主は買主から債務不履行による契約解除や損害賠償請求、売却代金や家賃などに対する代金減額請求などを受ける可能性があります。
同様に、貸主は借り手から契約解除や損害賠償請求、家賃の減額請求などを受ける可能性があります。
孤独死現場の原状回復はブルークリーンにご相談ください!
孤独死現場の原状回復について、以下の疑問や不安がある方も多いかもしれません。
- 誰が費用を負担するのか?
- どのくらいの費用がかかるのか?
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孤独死現場を放置しておくと、物件の価値が下がり、再賃貸や売却が困難になるだけでなく、近隣住民や管理会社からも苦情を受けることになります。
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孤独死現場の原状回復は出来るだけ早く行いましょう
孤独死現場を早めに回復する理由は、有害物質が床や壁に染み込んで臭気やカビ、虫などが発生することと、有害物質が人体にも悪影響を及ぼす可能性があることです。
また、孤独死現場を放置すると、物件の価値が下がり、再賃貸や売却が困難になるだけでなく、近隣住民や管理会社から苦情を受けることになります。
早急に回復することは、物件の価値を保つことにつながります。
特に孤独死現場では、死亡事実が周囲に知れ渡ると、その物件に対して不安や嫌悪感を抱く人が多くなる傾向があるため、回復は早めに行う必要があります。
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