家や会社が火事になったら|その後の手続きやお金・住まいに関する支援制度を解説

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「家が火事になってしまい、これからどうすればいいのか…」

「会社が焼けてしまい、手続きやお金のことが全く分からない」

突然の火災に見舞われると、このような不安に押しつぶされそうになる方は多いのではないでしょうか。

火は消えても、被害状況の確認、保険会社への連絡、罹災証明書の申請、住まいの確保など、その後にすべきことはたくさんあります。特に初めて経験する方にとっては、どの順番で動けばよいのか判断が難しい場面も多いでしょう。

この記事では、火事になったらするべき行動からその後の手続き・利用できる公的支援制度まで、生活を立て直すために必要なポイントを整理して解説します。

火災後の対応は、早めの行動がその後の負担を大きく左右します。できるだけ不安を減らし、元の生活に戻るための道筋が見えるよう、順を追って分かりやすくまとめました。

この記事でわかること
  • 火事になった直後にすべきこと
  • 消火後にすべき8つの手続き
  • 火事になったときに利用できる公的支援制度

家や会社が火事になったらまずは119番通報と避難を

火事になったら119番通報と速やかな避難が最優先であることを伝えるバナー画像

家や会社が火事になったら、まずは何よりも人命を守ることが最優先です。

煙や炎が広がるスピードは想像以上に早く、初期対応の遅れが大きな被害につながるおそれがあります。

落ち着いて119番へ通報し、建物内の人に声をかけながら速やかに外へ避難しましょう。避難の際は、ハンカチやタオルを口にあてて、できるだけ低い姿勢で移動してください。

火事によって発生する煙には、一酸化炭素をはじめとしたさまざまな有害物質が含まれるため、煙を吸い込まないようにすることが大切です。

また、火事が起きたのが夜間であったり、周囲から見えづらい場所であったりする場合は、大きな声で周辺の住民にも避難を呼びかけるようにしましょう。

なお、火が小規模であれば消火器で初期消火を試みることもありますが、無理だと感じた時点でただちに避難に切り替えてください。

火事になったらやってはいけないこと

火事の現場では、焦りから危険な行動を取ってしまうケースが多くあります。次のようなNG行為は二次災害につながるおそれがあるため、絶対に避けましょう。

  • 炎が天井に届くほどの火勢で無理に消火しようとする
  • 重要書類や貴重品を取りに建物へ戻る
  • 充満した煙の中を立って移動する
  • 避難の際にエレベーターを使用する
  • ガス栓やブレーカーに自ら近づいて操作する
  • 自力で判断して現場に長時間とどまる

火災時は視界が悪く、有害物質が発生している可能性もあります。消防隊の到着までは、安全な場所で待機し、指示に従うことが最も重要です。

参考:7.火災からの避難 – 防災危機管理eカレッジ|総務省消防庁

もしも家や会社が火事になったら|その後に必要な8つの手続きとは

火事の後に必要な8つの手続きを順番に確認することを促すバナー画像

家や会社が火事になったあとは、状況の整理や後片付けだけでなく、生活再建に向けたさまざまな手続きが必要になります。

そのため、初めて火災を経験する場合、「何から手をつければいいのか」「どの順番で進めるべきか」と迷う方も少なくありません。

そこでここでは、火事後に必ず確認しておきたい8つの手続きを順番に解説します。

【火事のあとに必要な8つの手続き】

  • 罹災証明書の発行を申請する
  • 火災保険会社に連絡する
  • 必要に応じてライフラインを停める
  • 現場の清掃・解体を依頼する
  • 火災廃棄物を処分する
  • 仮住まいを探す
  • 公的書類や貴重品の再発行手続きを行う
  • 近隣住民へのお詫びをする

それぞれの手続きについて、詳しく見ていきましょう。

罹災証明書の発行を申請する

火災後に最初に行うべき手続きが、自治体での「罹災証明書」の発行申請です。

罹災証明書は、住宅や建物の被害程度を公的に証明する書類で、火災保険の請求や公的支援制度の利用に欠かせません

申請は、市区町村役場の担当窓口(危機管理課・防災課など)で行い、消防署の火災調査結果をもとに判定が行われます。

申請時には、以下の準備をしておくとスムーズです。

  • 被害箇所を撮影した写真(外観・内部・家財など)
  • 火災の日時・発生場所の情報
  • 本人確認書類

発行までには現地調査などを経る必要があり、数週間の期間がかかります。火災保険や廃棄物の処理費用の減免制度など、そのほかの手続きをスムーズに進めるためにも、火災後はできるだけ早めに罹災証明書を取得しましょう。

罹災証明書の取得方法については、以下の記事でも詳しく解説しているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

【関連記事】
罹災証明書とは?発行の流れや認定基準、受けられる支援について解説

火災保険会社に連絡する

罹災証明書の申請と並行して、加入している火災保険会社へ早めに連絡することも重要です。

保険会社へ電話する際は、火災の発生日時・原因(分かる範囲で)・建物と家財の被害状況を簡潔に伝えましょう

その後、保険会社から被害調査(鑑定)が行われますが、調査が来るまでは、片付けや撤去作業をむやみに進めないことが大切です。現場を動かしすぎると、被害状況が正しく確認できず、補償対象から外れてしまうおそれがあるので注意しましょう。

なお、片付けを行う場合は、以下のような記録を残しておくと安心です。

  • 被害箇所の写真・動画(複数アングル)
  • 焼けた家財の品名・数量・購入時期などのメモ
  • 修理・復旧に必要な見積書

火災保険では、建物の修繕費だけでなく、片付け費用・消臭費用・臨時の宿泊費なども補償されることもあります。契約内容によって対象が異なるため、「何が補償されるかわからない」という場合は、必ず担当者に確認しましょう。

必要に応じてライフラインを停める

火災発生後は、安全確保のために電気・ガス・水道といったライフラインの停止を検討する必要があります。

特に建物内部が損傷している場合、通電によるショートや漏電火災、ガス漏れによる爆発など、二次災害のリスクが残るため注意が必要です。

消防が鎮火を確認したあと、建物へ立ち入っても問題ないと判断されてから、各事業者へ停止手続きを進めましょう

停止手続きは、電力会社やガス会社のカスタマーセンターへ連絡するだけで行えますが、状況によっては現地確認が必要になることもあります。また、ブレーカーやガス栓を自分で操作するのは危険なため、必ず専門業者や事業者の指示に従ってください

なお、ガスについてはガス漏れによる爆発を防ぐために消防からガス会社へ停止連絡をするケースも多いです。その場合は、電気や水道のみ自分で手続きを行いましょう。

現場の清掃・解体を依頼する

火災後の現場には、煤・焦げた建材・有害物質などが残っていることが多く、一般の方が安全に片付けられる状態ではありません

特に、壁材や断熱材が損傷している場合はアスベストが飛散している可能性もあり、無防備で作業すると健康被害につながるおそれがあります。

また、焦げた建材や家具の撤去、こびりついた煤の除去、室内に残った煙臭の対処などには、専門的な技術と専用機材が求められるため、一般的な清掃・消臭ではほとんど効果がありません。

そのため、火事後の清掃や解体は専門的な知識と装備を持つ業者へ依頼することが重要です。

火事後の清掃でお困りならブルークリーンへご相談を

火災後の建物内部を調査するブルークリーンスタッフの様子

火災後の片付けや清掃でお悩みなら、ブルークリーンがおすすめです。

ブルークリーンでは、以下のような火災後の特殊清掃・消臭・解体サポートを、提携業者と連携しながらワンストップで対応しています。

【ブルークリーンのサービス範囲】

  • 専門スタッフによる安全な家財撤去
  • 煤・焦げ跡の洗浄、壁や床の徹底クリーニング
  • オゾン脱臭機を用いた強力な消臭作業
  • 部分解体や原状回復工事の手配までサポート
  • 火災保険を利用した施工にも対応

被害の状況は物件ごとに異なるため、まずは現地調査を行い、最適な作業内容とお見積りをご提案します。

「片付けの手がつけられない」「煙の臭いをどうにかしたい」という方は、ぜひブルークリーンへお気軽にご相談ください

生活再建の第一歩を、専門チームがしっかりサポートします。

火災廃棄物を処分する

火災後の現場には、焼けた家具・家電・建材・断熱材・衣類など、多くの「火災廃棄物」が発生します。

見た目は通常の粗大ごみに近くても、火災で一度燃えたものは自治体の通常回収では受け付けてもらえないケースが多く、専門的な処分ルートへ回す必要があります

火災廃棄物は、状態や材質によって一般廃棄物・産業廃棄物のいずれかに分類され、誤った方法で捨てると追加費用や再回収が発生することもあるため注意が必要です。

また、火災現場には煤・アスベスト・ダイオキシン類などの有害物質が残留している可能性があるため、分別や撤去作業は専門業者へ依頼するようにしましょう。

火災廃棄物の処分方法については、以下の記事もあわせて参考にしてください。

【関連記事】
火災廃棄物の種類と処分方法|一般廃棄物と産業廃棄物の違いや業者選びのポイントを解説

仮住まいを探す

自宅が全焼・半焼した場合や、煙・煤による汚損がひどい場合は、元の家で生活を続けることが難しくなります。

そのため、当面の生活を確保するための「仮住まい探し」が必要です。

仮住まいとしては、ホテルやマンスリーマンション、民間の賃貸住宅、市営住宅の一時入居制度など、状況に応じたいくつかの選択肢があります。

まず確認したいのが、火災保険の「臨時費用保険金」「仮住まい費用補償」の有無です。

これらが契約に含まれていれば、ホテル宿泊費や賃貸物件の初期費用・家賃の一部が補償されることがあります。補償内容は保険会社によって異なるため、早めに担当者へ確認しておきましょう。

また、市区町村によっては火災被災者を対象に市営住宅への一時入居制度を設けている場合もあります。賃料が安く、初期費用も抑えられるため、民間賃貸が難しい方は役所へ相談してみましょう。

公的書類や貴重品の再発行手続きを行う

火災では、通帳・カード・保険証・身分証明書など、日常生活に必要な書類が焼失・汚損してしまうことがあります。これらをそのままにしておくと、口座の利用や行政手続きができず、生活再建が遅れてしまうため、早めの再発行が必要です。

なお、再発行手続きは書類ごとに窓口が異なるため、以下の表を参考に、必要な書類から優先的に申請しましょう。特に運転免許証・保険証・キャッシュカードは、生活上困りやすいため早めの手続きをおすすめします。

書類名 再発行窓口
運転免許証 警察署・運転免許センター
マイナンバーカード 市区町村役場
健康保険証 勤務先の担当部署/健康保険組合/市区町村
実印・印鑑登録証 市区町村役場
年金手帳 市区町村役場(第1号被保険者)/勤務先(厚生年金)
通帳・キャッシュカード 各銀行窓口
クレジットカード 各カード会社
パスポート 各都道府県パスポートセンター

近隣住民へのお詫びをする

火災は自宅や会社だけでなく、近隣住民にも大きな不安や迷惑を与えてしまいます

延焼の危険、煙や臭い、消防活動による騒音・通行規制など、周囲への影響は想像以上に広がるものです。そのため、火事が落ち着いた段階で、可能な範囲で近隣の方へお詫びをしておきましょう。

また、近隣住宅に被害が出ている場合は、火災保険で補償されるケースがあります。相手への補償の可否も含め、早めに保険会社へ相談しておくと安心です。

火災後は生活再建に追われ余裕がなくなりがちですが、近隣への誠意ある対応がトラブルの防止につながります。無理のない範囲でコミュニケーションを取っておきましょう。

火事になったときに利用できる公的支援制度

火災後に利用できる国や自治体の公的支援制度を案内するバナー画像

国や各自治体では火災被災者を対象としたさまざまな公的支援制度を設けています。

ここでは、火災後に利用できる主な公的支援制度と、その特徴を分かりやすく紹介します。

なお、各自治体のホームページでは、火災後に利用できる公的支援制度をまとめて紹介しているケースも多いです。以下を参考にしながら、自治体ホームページでも利用できる制度がないか確認してみてください

災害見舞金制度

災害見舞金制度は、火災によって住宅が一定以上の被害を受けた世帯に対し、自治体が見舞金を支給する制度です。支給額や対象条件は自治体によって異なりますが、多くの場合、全焼・半焼・一部損壊といった罹災証明書の被害区分に基づいて支給額が決まります

たとえば横浜市の災害見舞金制度では、以下のような給付を受けることが可能です。

区分 単身世帯 2人以上世帯 非住家
全壊家屋世帯 3万円 5万円 3万円
半壊家屋世帯 2万円 3万円 2万円
死者 1人につき:10万円
重傷者 1ヵ月以上1人につき:3万円
6ヵ月以上1人につき:5万円

参考元:横浜市災害見舞金・弔慰金|横浜市

なお、災害見舞金の申請に必要な主な書類は以下のとおりです。

  • 罹災証明書
  • 本人確認書類
  • 振込口座情報
  • 申請書(自治体の窓口またはホームページから入手)

申請期限を設けている自治体もあるため、火災後できるだけ早めに確認し、手続きを進めることが大切です。

生活福祉資金制度

生活福祉資金制度は、火災などの災害によって生活の立て直しが難しくなった世帯に対し、社会福祉協議会が低金利または無利子で貸付を行う制度です。

火事で住まいを失った場合の「緊急小口資金」や、生活再建のための「総合支援資金」など、状況に応じた複数の貸付枠があります。特に、家具・家電の買い替え費用や仮住まいの賃料など、まとまった出費が生じるタイミングで大きな助けとなります。

貸付の対象は、一定の収入基準を満たす世帯や、災害によって一時的に生活が困窮している世帯などが一般的です。たとえば横浜市の緊急小口資金の場合、10万円を限度に無利子でお金を借りられるため、火災直後の急な出費にも対応しやすくなるでしょう。

申し込みは、住んでいる自治体の社会福祉協議会(社協)で行い、罹災証明書、本人確認書類、収入状況が分かる資料などをもとに審査を行ったうえで貸付の可否が決定します。

なお、返済猶予や償還免除が適用される場合もあるため、一度自治体の担当窓口へ相談してみましょう。

市営住宅への一時入居制度

火災によって住まいを失った場合、自治体が運営する市営住宅を「一時入居用」として提供してくれる制度があります。

たとえば横浜市川崎市では、市営住宅を最長3ヵ月にわたって無償で提供しています。

利用にあたっては、罹災証明書の提出が必要で、全焼・半焼などの被害区分によって対象となるかが判断されるのが一般的です。

ただし、市営住宅は部屋数に限りがあるため、状況によっては希望する間取りや地域での入居が難しいこともあります。民間賃貸やホテルとの併用を検討しながら、早めに役所へ相談するとよいでしょう。

一般廃棄物処理費用減免制度

火災後の片付けでは、家具・家電・建材など大量の廃棄物が発生します。

本来これらを処分するには多額の費用がかかりますが、自治体によっては「一般廃棄物処理費用減免制度」を利用でき、処分費の一部または全額が減免される場合があります。

たとえば、横浜市では、火災によって生じた一般廃棄物の処理について、以下のような減免制度を設けています。

減免事由 詳細・条件 減免割合
火災の被害を受けた場合 火災により生じた廃棄物を被災者が自ら(※)本市廃棄物処理施設に搬入するとき。 ただし、以下の廃棄物を除く。 建て替え等により生じた廃棄物 事業系廃棄物のうち商品、原材料及び不燃物 全額

参考元:火災や、天災等の被害により生じた一般廃棄物の処理手数料の減免について|横浜市

ただし、減免を受けるためには、罹災証明書の提示が必須です。

また、通常の粗大ごみ回収とは手続きが異なり、事前申請や専用窓口への連絡が必要になります。自治体によっては、クリーンセンターへ直接持ち込む方式や、業者委託による集荷方式が設けられていることもあるので、事前に詳細を確認しておきましょう。

所得税の軽減・減免

火災によって住宅や家財に大きな損害が発生した場合、「災害減免法」の対象となり、一定の条件を満たせば所得税が軽減または免除されます。

災害減免法による軽減は、本人や生計を一にする家族の所得が1,000万円以下の場合に適用され、損害の程度に応じて所得税の全額免除・2分の1・4分の1といった段階的な減税が受けられます。

所得金額の合計額 軽減または免除される所得税の額
500万円以下 所得税の額の全額
500万円を超え750万円以下 所得税の額の2分の1
750万円を超え1,000万円以下 所得税の額の4分の1

参考元:No.1902 災害減免法による所得税の軽減免除|国税庁

なお、所得税の軽減・減免を受けるためには、確定申告書類等にその旨と被害状況を記載して税務署へ提出する必要があります。

手続きの方法で悩んだ場合は、一度税務署や税理士に相談するのがおすすめです。

住民税の減免

火災によって住宅や家財に損害が出た場合、所得税だけでなく「住民税」の減免を受けられる可能性があります。

住民税は自治体が管轄しているため、具体的な減免基準や内容は市区町村によって異なりますが、多くの自治体では罹災証明書をもとに損害の程度を判断し、税額の一部または全額を減免する制度を整えています。

たとえば、横浜市では被害の状況に応じて、翌年度の市民税が軽減される仕組みがあります。

ただし、制度の適用には申請期限が設けられている場合もあるため、火災後は早めに自治体の税務担当へ相談することが大切です。

固定資産税の減免

火災で住宅や建物が損傷した場合、その年の固定資産税が減免される可能性があります。

固定資産税は土地・家屋に対して毎年課税される税金ですが、火災によって利用が困難になったり、価値が大きく下がったりした場合は、自治体が被害状況に応じて税額を軽減する仕組みを設けているのです。

たとえば横浜市では、土地・家屋・償却資産の被害状況に応じて以下のような減免を受けることができます。

減免の対象 減免する税額
災害により10分の5以上の損害を受けた場合 災害後の納期分の全額
災害により10分の2以上の損害を受けた場合 災害後の納期分の10分の5の額
災害により10分の1以上の損害を受けた場合 災害後の納期分の10分の2の額

参考元:災害により被害を受けた場合の市税の減免等について|横浜市

減免が適用されると、翌年度の固定資産税の負担が大幅に軽減され、生活再建の支えとなります。

修繕工事や建て替えを予定している場合も、一度自治体へ相談し、対象となるか確認するとよいでしょう。

国民健康保険料の減免

火事によって自宅が損壊し、生活が大きく変わってしまった場合、国民健康保険料が減免されることがあります。

減免の対象になるかどうかは、被害の程度や所得、世帯状況によって異なる点に注意が必要です。

たとえば横浜市では、「家屋等の資産が20%以上の被害を受けた方」を対象に国民健康保険料の減免を行っています。

申請には罹災証明書が必要なため、まずは市区町村で発行を受け、その後に国民健康保険担当窓口で手続きを行いましょう。

国民年金保険料の免除

火事によって家屋が損壊し、生活の立て直しが必要なときは、国民年金保険料の免除や納付猶予を利用できる場合があります。

たとえば横浜市では、「免除を申請する月の属する年またはその前年等において、震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、被害金額が財産の価格のおおむね2分の1以上である損害を受けたとき」に、国民年金保険料の減免が認められています。

ただし、免除の申請では被害状況を示す資料として、罹災証明書の提出が必要です。

また、免除が認められた期間は将来の年金額に一部反映されますが、あとから追納することも可能です。

雑損控除

火事によって住宅や家財が損害を受けた場合、確定申告で「雑損控除」を適用できる可能性があります。

雑損控除とは、災害によって生じた損失を所得から差し引き、税負担を軽減する制度です。

控除の対象となるのは、自宅の建物・家財道具など生活に必要な資産の損害です。損失額は「被害を受けた資産の価値」や「保険金などで補填された金額」を基に計算され、最終的な控除額を求めます。

特に火災保険で補償を受けた場合は、補填金額を差し引く必要がある点に注意しましょう。

申請方法は、確定申告の際に雑損控除に関する内容を記載したうえで、被害によってやむを得ず生じた支出を証明する書類を添付します。

火事後の家計負担を少しでも減らすためにも、対象になりそうな場合は早めに税務署へ相談すると安心です。

参考:No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)

まとめ

家や会社が火事になったら、まずは避難と119番通報を優先し、身の安全を確保することが大切です。

鎮火後は、罹災証明の取得や火災保険会社への連絡など、必要な手続きを早めに進めましょう。ライフラインの停止、現場清掃、廃棄物処分、仮住まい探しなど、通常の生活では経験しない作業が続くため、必要に応じて専門業者への依頼も検討してください。

また、国や自治体では火事後の暮らしを支えるためにさまざまな公的制度を用意しています。災害見舞金、生活福祉資金、市営住宅の提供、各種税金・保険料の減免、雑損控除など、状況に応じて組み合わせることで、家計の負担を大きく抑えられるでしょう。

火災後は不安や心労が重なり、何から手を付けるべきか分からなくなることも多いですが、本記事を参考に、一つずつ順番に手続きを進めてみてください。

監修者 鈴木亮太(すーさん)

ブルークリーン株式会社

取締役 環境復旧対策部部長

▶経歴
・YouTube「特殊清掃ch|すーさん」登録者5.3万人
・ペストコントロール技能師(日本ペストコントロール協会)
・IICRC認定テクニシャン(CCMT/OCT)
・Goldmorr認定テクニシャン(カビ除去スペシャリスト)
・JRES認定テクニシャン(火災水害復旧対策訓練修了)
・横浜市栄区自治体研修(「ごみ屋敷の解消と再発防止に向けた寄り添い支援」
・これまで8年以上4,000件以上の現場(孤独死・火災・水害・ゴミ屋敷・遺品整理など)に携わる

▶メディア出演
・「ABEMA 変わる報道番組 #アベプラ【公式】」ABEMA
・「日刊SPA!」定期連載中
・「bizSPA!フレッシュ
・「スタジオパーソル」単独取材
・「田村淳の地上波ではダメ!絶対!」BSスカパー
・「Channel恐怖」Amazon prime video