床下浸水時に活躍する家庭用排水ポンプとは|選び方とおすすめ製品3選を解説

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床下浸水が起きたとき、「溜まった水は自分で抜けるのか」と悩む方は多いでしょう。しかし、床下に溜まった水を人の手だけで排水するのは、現実的ではありません。

そして浸水を放置すればするほど、木材の傷みやカビ、悪臭といった二次被害につながるため、できるだけ早く水を抜くことが重要になります。

そんなときに頼りになるのが、家庭用の排水ポンプです。ただし、排水ポンプなら何でも使えるわけではなく、選び方を間違えると「使えなかった」「思ったほど水が抜けない」といった失敗につながりかねません。

そこで本記事では、床下浸水時に活躍する家庭用排水ポンプの基本から、失敗しにくい選び方のポイント、家庭で使いやすいおすすめ製品までを分かりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 家庭用排水ポンプの選び方
  • 浸水被害で役立つおすすめの排水ポンプ3選
  • 床上浸水・床下浸水の際に業者への依頼がおすすめな理由

排水ポンプとは?

排水ポンプとは?

排水ポンプとは、床下浸水や水漏れなどによって発生した水を汲み上げ、外へ排出するためのポンプです。

似たものとして「水中ポンプ」がありますが、ポンプ本体を水の中に沈めて使用するポンプ全般を水中ポンプと呼ぶのに対し、雨水や汚水などの排水を目的としたものが排水ポンプと呼ばれています。

また、排水ポンプにはいくつかの種類があり、汲み上げる水の性質によって大きく3つに分けられます。それぞれ適した使い方があるため、まずは違いを確認しておきましょう。

種類 概要
①汚水用 濾し器がついているため、泥・砂・ゴミが混ざった水に対応可能。 床下浸水や床上浸水など、家庭の浸水トラブルで使う。
②清水用 ゴミを含まないきれいな水専用。 散水や洗車向きで、浸水の排水には不向き。
③腐食性液用 病院や研究所で出る薬品の廃液など、特殊な液体向け。 家庭で使う場面はほとんどない。

床下浸水の際は、上記の中でも汚水用を用いるということを覚えておきましょう。

家庭用と業務用の違い

床下浸水対応で家庭用排水ポンプ実際に設置して使用している様子の写真

家庭用と業務用における違いは、排水できる水の量(吐出量)と、排水できる高さ(揚程)、そして耐久性にあります。

業務用の排水ポンプは、建設現場や災害復旧の現場で使われることを前提に設計されているため、短時間で大量の水を排出でき、長時間の連続運転も可能です。

一方、家庭用の排水ポンプは、大規模な排水作業は行えず、軽度な床下浸水などの限定的なシーンで用いられます。

なお、家庭用の汚水用排水ポンプでできるのは、あくまで「水を抜くこと」までです。

排水後の乾燥や消毒、カビ対策まですべてを完結できるわけではないため、排水が終わった後の対応まで含めて考えておきましょう。

床下浸水・床上浸水の際に排水ポンプがあると便利な理由

床下浸水や床上浸水の際に排水ポンプを使うことで、水位を早く下げ被害拡大を防げる理由を解説するバナー画像

床下浸水や床上浸水が起きた場合、排水ポンプがあれば、溜まった水を自分で外へ排出し、水位を下げることができます。これが、排水ポンプを使う最大のメリットです。

床下や室内に入り込んだ水は、バケツや雑巾などの人力作業ではなかなか排水できません

床下は空間が狭く、水が広い範囲に溜まりやすい場所のため、少しずつ水をくみ出す方法では、膨大な時間と労力がかかってしまいます。

さらに、浸水時間が長くなるほど、床下の木材が傷み、断熱材が水を含んで性能が低下するなど、建物への影響が徐々に大きくなります。あわせて、カビや雑菌が繁殖しやすい環境になってしまう点にも注意しなければなりません。

だからこそ、排水ポンプを使ってできるだけ早く水を抜くことが重要になるのです。

排水ポンプを使えば、床下や室内に溜まった水を継続的に外へ排出でき、建材が水に浸かっている時間を大幅に短縮できます。

また、浸水直後は専門業者にすぐ依頼できないケースも少なくありません。災害時や大雨の後は、復旧業者への依頼が集中し、到着までに時間がかかることがあります。

排水ポンプがあれば、その間に応急的に水位を下げる対応ができるため、被害の拡大を防ぐ手段としても役立つでしょう。

家庭用排水ポンプの選び方

床下浸水対策として使用する家庭用排水ポンプの選び方を解説するバナー画像

家庭用排水ポンプを選ぶ際は、床下という限られた空間で使うこと、汚れた水を扱うことを前提に、用途に合った性能かどうかを確認することが重要です。

ここでは、家庭用の排水ポンプを選ぶ際に最低限チェックしておきたいポイントとして、以下5つを紹介します。

  • 床下点検口に入るサイズかどうか
  • 汚水の排水に対応しているものを選ぶ
  • 地域ごとの周波数(ヘルツ)に対応しているか
  • 吐出口のサイズを確認する

それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

床下点検口に入るサイズかどうか

家庭用排水ポンプを選ぶ際は、まず床下にポンプを入れられるかどうかを確認することが重要です。性能が十分でも、床下へ持ち込めなければそもそも使えません。

床下への入口として一般的なのは、床下点検口や床下収納です。一戸建て住宅では、1階のキッチンや洗面所付近に設置されていることが多く、30cm角や45cm角程度が一般的です。この開口部から排水ポンプを床下へ下ろします。

排水ポンプを選ぶ際は、本体の直径や高さだけでなく、持ち手や電源コードの付け根なども含めた外形寸法が、点検口を無理なく通るかを確認しましょう。また、点検口の位置や周囲の構造によって、ポンプをまっすぐ下ろせないこともあります。そのため、開口サイズぴったりのものではなく、少し余裕のあるサイズを選んでおくと安心です。

なお、床下点検口や床下収納がない場合、畳を外して床下に入れるケースもありますが、入口がまったくない住宅では自力での対応は困難です。その場合は、無理にポンプを使おうとせず、専門業者へ相談することをおすすめします。

汚水の排水に対応しているものを選ぶ

床下浸水や床上浸水で排水する水は、泥や砂、ゴミ、有機物が混ざった汚水であることがほとんどです。そのため、家庭用排水ポンプを選ぶ際は必ず「汚水対応」であることが明記されている製品を選びましょう。

汚水対応ポンプであれば、多少の砂やゴミが混じっていても排水できる構造になっており、床下浸水のような状況でも安定した排水が可能です。製品仕様欄で「対応可能な異物の大きさ」などが記載されている場合は、あわせて確認しておくとより安心でしょう。

低い水位まで対応しているか

排水ポンプを選ぶ際は、できるだけ低い水位まで排水できるかどうかを確認しましょう。目安として、残水位が1mmまで排出できるものがおすすめです。

床下浸水では、水を残さず抜けるかどうかが、その後の被害を左右します。床下にわずかに水分が残るだけでも、カビの発生や木材の腐食につながってしまうのです。そのため、製品仕様に記載されている「最低吸水水位」を確認し、できるだけ低水位まで対応できるポンプを選ぶことが大切です。

排水後の乾燥や後処理をスムーズに進めるためにも、この点は必ずチェックしておきましょう。

地域ごとの周波数(ヘルツ)に対応しているか

家庭用排水ポンプを選ぶ際に見落とされがちなのが、電源の周波数(ヘルツ)への対応です。

日本では、東日本が50Hz、西日本が60Hzと、地域によって電源周波数が異なります。

使用する地域と合っていない周波数のポンプを選んでしまうと、排水能力が十分に発揮されなかったりモーターに負担がかかったりすることがあるので注意しましょう。

引っ越しなどで周波数が変わる地域へ移動する予定があるなら、両対応タイプを検討してみてください。

吐出口のサイズを確認する

排水ポンプを使う際はホースが必要ですが、排水ポンプを購入してもホースは付属していないケースが多いです(固定用パーツは付属しています)。

そのため、自分で口径に合ったホースを用意する必要があります。

基本的には、ネット上でも確認できる商品の取り扱い説明書に口径が記載してあるので、同じ内径のホースを購入しましょう。

家庭向けのおすすめ排水ポンプ3選

床下浸水や軽度の床上浸水で活躍する排水ポンプは、商品によって扱いやすさや排水力が変わります。ここでは、家庭で使いやすく、汎用性の高いおすすめの排水ポンプを3つ紹介します。

どれも汚水対応や低水位排水など、床下浸水で役に立つ機能を備えたモデルです。用途に合わせて選ぶことで、応急排水から仕上げの排水まで、より効率的に作業を進められますよ。

水中汚水ポンプ|京セラ

水中汚水ポンプ|京セラ

出典:水中汚水ポンプ|京セラ

床下浸水の排水に使うなら、京セラの水中汚水ポンプの中でも「AMG8000」が最もバランスの取れたモデルです。

AMG8000は、最大吐出量が220L/分と排水能力が高く、床下全体に水が広がっている状況でも、比較的短時間で水位を下げることが可能です。浸水時間をできるだけ短くすることが木材の劣化やカビ発生のリスクを抑えるうえで重要なため、この排水スピードは大きな強みになるでしょう。

また、最大通過粒径が10mmまで対応しており、泥や砂、小さなゴミが混ざった汚水でも安定した排水が可能です。

最低水位は20mmまで対応しているため、ある程度床に近い位置まで排水でき、排水後の処理や乾燥作業を進めやすい点もメリットです。さらに、軽量で取り回しやすく、床下への持ち込みや設置も比較的スムーズに行えるでしょう。

サビに強い樹脂ボディを採用しているので、汚水を扱う場面でも劣化しにくく、長時間の連続運転に備えたサーマルプロテクター(過熱保護装置)も搭載されています。

性能は高いものの業務用ほど大掛かりではなく、家庭での応急排水に現実的なスペックに収まっています。

水中ハイスピンポンプ|鶴見製作所

水中ハイスピンポンプ|鶴見製作所

出典:水中ハイスピンポンプ|鶴見製作所

鶴見製作所の水中ハイスピンポンプ(LSC・LSCE型)は、ごく浅い水位まで排水できる水中ポンプです。床下浸水の排水作業の中でも、「水位をほぼ抜き切りたい」「最後に残る水を処理したい」といった場面で力を発揮します。

このポンプの最大の特長は、最低水位1mmまで排水できる設計です。独自の底板構造とスイング弁により、一度吸い上げた水が逆流しにくく、床ギリギリの水まで効率よく排水できます。床下にわずかに残った水分がカビや腐食の原因になることを考えると、この性能は大きなメリットといえるでしょう。

また、本体は軽量コンパクトで、床下への持ち込みや設置がしやすい点も特徴です。

電極式の自動運転タイプ(LSCE型)では、水位を感知して自動で運転・停止を行うため、排水作業中につきっきりになる必要がありません。水位の変化や波立ちによる誤作動を抑える制御が採用されており、夜間や住宅密集地での使用にも配慮された設計です。

ただし、吐出口径は25mmと比較的細く、排水量よりも低水位対応を重視したモデルといえます。床下全体の水を一気に抜く用途というよりは、浅い浸水への対応に向いたポンプです。

底水用水中ポンプ|寺田ポンプ製作所

底水用水中ポンプ|寺田ポンプ製作所

出典:底水用水中ポンプ|寺田ポンプ製作所

寺田ポンプ製作所の底水用水中ポンプ(S-500LN)は「低水用」を謳っており、1mm以下の水位まで排水できる設計が特徴です。

逆止弁付きの構造により、一度吸い上げた水が戻りにくく、床面に残りやすい薄い水を効率よく排水可能。床下にわずかに水分が残るだけでも湿気やカビの原因になるため、この性能は大きなメリットといえます。

また、泥水や汚水(固形物は含まない)に対応しており、床下浸水のように水質が読みにくい状況でも、仕上げ排水用として安定した運転が可能です。ポンプ本体の外装には合成ゴムが使われており、擦れや衝撃に強い構造になっています。

一方で、排水量は控えめなため、床下全体に水が溜まっている状態では排水に時間がかかる可能性が高いです。短時間で水位を大きく下げたい場面よりも、残りやすい水を丁寧に排水したい場面に向いたポンプといえます。

床下浸水・床上浸水に排水ポンプだけで対応するのは難しい

家庭用排水ポンプは、床下浸水や床上浸水が起きた際に、溜まった水を外へ排出するための有効な手段です。しかし、排水ポンプだけで被害を完全に解決することは難しいでしょう。

排水ポンプでできるのは、あくまで「水を抜くこと」までであり、床下・床上浸水の復旧ではむしろその後の工程が非常に重要になるからです。

水が引いたあとの床下や建物内部には、目に見えない湿気が大量に残ります。この湿気を放置すると、木材の腐食や金属部分のサビ、断熱材の劣化、さらにはカビや雑菌の繁殖につながるおそれがあります。特に床下は通気性が悪く、自然乾燥だけでは十分に乾かないケースが多いため注意が必要です。

また、浸水した水が汚水だった場合、雑菌や悪臭の原因物質が建材に付着している可能性もあります。この状態で消毒や防カビ処理を行わずに放置すると、あとから異臭や健康被害が出ることもあるのです。

こうした乾燥・消毒・防カビまで含めた対応は、専門的な機材や知識が必要になります。余計な被害を生まないためにも、早い段階で専門業者に依頼するのがおすすめです。

床下浸水・床上浸水の排水でお困りならブルークリーンへご相談を

床下浸水の復旧ならブルークリーン

床下浸水や床上浸水の中でも、特に注意が必要なのが汚水による浸水被害です。

水害などによって家の床下や家の中に汚水が入り込んだ場合、水を抜くだけでは不十分で、清掃・消毒・乾燥までを含めた復旧が必要になります。

ブルークリーンでは、汚水の回収・除去から、床下や室内の洗浄・消毒、強制乾燥、必要に応じた防カビ対策までを、一連の復旧作業として対応可能です。専門的な機材や技術を駆使し、快適な住まいを取り戻すための作業をサポートさせていただきます。

排水後の状態が本当に安全かどうかは、見た目だけでは判断できません。「このまま放置して大丈夫か不安…」と悩んでいる方は、まずはお気軽にブルークリーンへご相談ください。

まとめ

床下浸水や床上浸水が起きた場合、まずは家庭用排水ポンプを使って、溜まった水をできるだけ早く排出しましょう。水に浸かっている時間を短くすることが、被害の拡大を防ぐ第一歩になります。

ただし、排水ポンプでできるのは水抜きまでです。水が引いたあとの床下には湿気や汚れが残りやすく、乾燥や消毒を行わずに放置すると、カビや腐食、悪臭の原因になります。排水後の状態を確認し、必要に応じて適切な対応を行いましょう。

特に汚水が入り込んだ場合は、家庭での対応だけでは限界があります。無理に自分で対処を続けるよりも、早めに専門業者へ相談するのがおすすめです。

監修者 鈴木亮太(すーさん)

ブルークリーン株式会社

取締役 環境復旧対策部部長

▶経歴
・YouTube「特殊清掃ch|すーさん」登録者5.3万人
・ペストコントロール技能師(日本ペストコントロール協会)
・IICRC認定テクニシャン(CCMT/OCT)
・Goldmorr認定テクニシャン(カビ除去スペシャリスト)
・JRES認定テクニシャン(火災水害復旧対策訓練修了)
・横浜市栄区自治体研修(「ごみ屋敷の解消と再発防止に向けた寄り添い支援」
・これまで8年以上4,000件以上の現場(孤独死・火災・水害・ゴミ屋敷・遺品整理など)に携わる

▶メディア出演
・「ABEMA 変わる報道番組 #アベプラ【公式】」ABEMA
・「日刊SPA!」定期連載中
・「bizSPA!フレッシュ
・「スタジオパーソル」単独取材
・「田村淳の地上波ではダメ!絶対!」BSスカパー
・「Channel恐怖」Amazon prime video