近年、スマホの普及とともに“持ち歩ける電源”として欠かせなくなったモバイルバッテリー。
充電が無くなったときに便利な一方、リチウムイオン電池を原因とした火災が増えているのをご存じでしょうか。
中にはモバイルバッテリー火災についてテレビやSNSで情報を目にし、以下のように不安を感じている方もいるかもしれません。
「モバイルバッテリーが発火したらどうすればいい?」
「寝ている間の充電は危ないの?」
この記事では、モバイルバッテリー火災の発生状況や発火の前兆、火災を防ぐための対策や火が出たときの対処法まで詳しく解説。
さらに、火災が起きてしまった場合にすべきことまで紹介します。日ごろから使うものだからこそ、火災のリスクや扱い方、いざというときの対処法に関する知識を身につけておきましょう。
- モバイルバッテリー火災の実態と原因
- 発火を防ぐための正しい使い方と注意点
- 万が一発火した場合の対処法と火災後にすべきこと
▶経歴
・YouTube「特殊清掃ch|すーさん」登録者5.3万人
・ペストコントロール技能師(日本ペストコントロール協会)
・IICRC認定テクニシャン(CCMT/OCT)
・Goldmorr認定テクニシャン(カビ除去スペシャリスト)
・JRES認定テクニシャン(火災水害復旧対策訓練修了)
・横浜市栄区自治体研修(「ごみ屋敷の解消と再発防止に向けた寄り添い支援」)
・これまで8年以上4,000件以上の現場(孤独死・火災・水害・ゴミ屋敷・遺品整理など)に携わる
▶メディア出演
・「ABEMA 変わる報道番組 #アベプラ【公式】」ABEMA
・「日刊SPA!」定期連載中
・「bizSPA!フレッシュ」
・「スタジオパーソル」単独取材
・「田村淳の地上波ではダメ!絶対!」BSスカパー
・「Channel恐怖」Amazon prime video
モバイルバッテリー火災の発生状況
モバイルバッテリーに使われている「リチウムイオン電池」はエネルギー密度が高く便利な一方で、過充電・衝撃・内部劣化などによって出火するリスクがあります。
実際、東京消防庁の発表によると、リチウムイオン電池が原因の事故は年々増加しており、令和5年には167件もの火災が発生しています。

また、リチウムイオン電池が原因の火災のうち、44件がモバイルバッテリー関連とされています。
日常的に持ち歩くスマートフォンやタブレットなども出火リスクがありますが、その中でも最も火災のリスクが高いのがモバイルバッテリーなのです。

身近で便利なアイテムだからこそ、「使い方」や「保管方法」を理解し、火災の被害に遭うことがないように対策することが大切です。
モバイルバッテリーが発火する原因とは

モバイルバッテリーの発火には、内部に使われているリチウムイオン電池の構造上の特徴が大きく関係しています。
リチウムイオン電池は、高出力・大容量・軽量という優れた性質がある一方で、内部には可燃性の有機溶剤が使われています。
しかし、衝撃や劣化によって内部で短絡(ショート)が発生すると、急激な温度上昇によって有機溶剤が気化し、そこから発火するケースがあるのです。
これがニュースでもよく取り上げられる“突然の発煙・爆発”の正体です。
正しくモバイルバッテリーを使っていれば、発火のリスクはそこまで高くありません。
しかし、以下に該当する場合はモバイルバッテリーから出火するリスクがあるため注意が必要です。
- 品質の低い製品を使用している
安価な製品は、内部のセルの質が低かったり、温度を管理する保護回路が十分でないケースがあります。保護機能が働かないと、過熱や過充電を止められず、熱暴走につながる危険があります。
- 長期間同じモバイルバッテリーを使っている
リチウムイオン電池は繰り返し使用するうちに内部が劣化し、電解質が酸化してガスを発生させます。これが“バッテリーの膨張”につながり、衝撃が加わると一気に発火に至るケースがあります。
- 日ごろから温度が高い・低い場所で保管している
リチウムイオン電池は高温にも低温にも弱く、車内放置や直射日光下では劣化が急速に進みます。急激な温度差による結露も内部ショートの原因となるため、湿気の多い環境での使用も危険です。
- モバイルバッテリーを高いところから落としたことがある
バッテリー内部は非常に繊細で、落下や圧迫だけでも内部構造が損傷することがあります。見た目は小さな凹みでも、そのまま使うと突然の発火につながるおそれがあります。
上記のケースに該当する場合は、モバイルバッテリーの使用を控え、新しいものに買い替えることも検討しましょう。
モバイルバッテリーが発火する前兆
モバイルバッテリーの火災は、前兆なく突然起きるケースが多いのが特徴です。

実際、東京消防庁のデータでも、令和5年に起きたモバイルバッテリー火災167件のうち、「普段通り使用していたのに突然出火した」というケースが39件と最も多いことが分かっています。
さらに、全体の半数以上は「前兆は不明」という結果でした。
つまり、「異変がないから安心」とは言い切れず、日頃から発火に注意しながら使うことが重要といえます。
なお、出火の前兆として見られたものとしては、以下のようなものが挙げられています。
-
- バッテリーが膨らんでいる:7件
- 充電できなくなる:2件
- 外部衝撃:18件
- 分解・廃棄:16件
- 誤った方法での充電:16件
これらの前兆に心当たりがある場合は、今すぐモバイルバッテリーの使用を控え、適切な方法での処分を検討しましょう。
モバイルバッテリーからの発火を防ぐ対策法

モバイルバッテリーは便利な反面、扱い方を誤ると発煙・発火につながる可能性があります。
また、東京消防庁のデータでも「普段通り使用していて突然発火したケース」が最も多く報告されているため、見た目に異常がなくても予防策を取ることが大切です。
ここからは、今日からできる具体的な対策として、以下5つを紹介します。
- 就寝中・外出中の充電は避ける
- 車内などの高温環境に放置しない
- できるだけ衝撃を加えない
- 使って数年経過したら新しいものに買い替える
- 高品質な製品を購入する
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
就寝中・外出中の充電は避ける
モバイルバッテリー火災を防ぐためには、就寝中や外出中など目を離している状態での充電は避けましょう。
目が届かないときに充電していると発熱や異臭といった異常や発火に気づけず、気づいたときには火災が進行しているおそれがあります。
リチウムイオン電池は正常な状態でも発熱を伴うため、万が一内部で異常反応が起きてもすぐ対処できる環境づくりが重要です。
短時間の外出や仮眠であっても“充電しっぱなしにしない習慣”が、火災リスクを大きく下げることにつながります。
車内などの高温環境に放置しない
モバイルバッテリーは、高温に非常に弱いという性質があります。
周囲の温度が上がると電池内部の反応が不安定になり、膨張・発熱・ガス発生を経て発火に至ることがあります。
たとえ電源を入れていなくても、放置しているだけで内部劣化が進む可能性もあるため、以下のような保管方法を徹底しましょう。
- 車内に置きっぱなしにしない(特に夏場)
- 直射日光の当たる場所で充電・保管しない
- こたつ、ストーブ、暖房器具の近くに置かない
- サウナ・浴室・キッチンなど温度変化が大きい場所は避ける
- 使用後はバッグやポケットの中で温度がこもらないよう注意する
なお、モバイルバッテリーは10℃〜30℃程度の室温環境で保管・使用するのが理想とされています。
高温はもちろん、極度の低温環境に放置することがないように保管場所を工夫しましょう。
できるだけ衝撃を加えない
モバイルバッテリー火災を防ぐためには、できるだけ衝撃を加えないことが重要です。
モバイルバッテリーは外側がプラスチックなどで覆われていますが、内部は非常にデリケートです。
落下が原因で内部でショートを起こすと、発火につながるケースも珍しくありません。
衝撃による発火事故を防ぐためには、以下の点を心がけましょう。
- 床に落とさないよう、安定した場所で使用・充電する
- バッグ内で硬い物とぶつからないよう、専用ケースに入れる
- ポケットに入れたまま座るのを避ける
衝撃は一度で故障や不具合につながることもあれば、繰り返しのダメージが数年後に突然表面化することもあります。
また、小さな落下でも内部ダメージが蓄積するため、「落としても見た目が無事だから大丈夫」と油断しないことが大切です。
使って数年経過したら新しいものに買い替える
モバイルバッテリーの発火リスクを下げるには、使い始めて数年が経過したら新しいものに買い替えることも検討しましょう。
もちろん「長期間使用=すぐに危険」というわけではありません。
しかし、長期間の使用によって衝撃・温度変化・充電の繰り返しなどで劣化が進むと、安全性は確実に低下していきます。
実際に、東京消防庁のデータによると令和5年に発生したモバイルバッテリー火災のうち、約15%は6年以上使用したモバイルバッテリーからの発火が原因です。
特に以下のような症状がある場合は、早めに使用を中止して買い替えを検討してください。
- 以前より充電速度が遅くなった
- 満充電してもすぐ残量が減る
- 本体が膨らんできた気がする
- 充電中に異臭・異音・過度な発熱がある
- 表面に凹みや破損がある
こうした変化は、内部劣化のサインであり、放置するとトラブルにつながる可能性があります。
モバイルバッテリーは消耗品と捉え、安全第一で定期的な交換を習慣にしましょう。
高品質な製品を購入する
モバイルバッテリーの安全性を大きく左右するのが、製品そのものの品質です。
格安すぎるバッテリーの中には、品質が低く、温度管理や過充電防止などの保護回路が不十分なものもあり、発火事故の原因になりやすいことが指摘されています。
実際、東京消防庁のデータでも「品質不良」が原因のモバイルバッテリー火災が多数報告されています。
モバイルバッテリーを安心して使うために、購入時は以下のポイントを必ずチェックしましょう。
- PSEマークがあるか(日本国内では必須)
- 温度管理機能・過充電防止・過放電防止機能の有無
- 実績があるメーカーかどうか
- 説明書・サポート体制が整っているかどうか
- 不自然に安価すぎないかどうか
特にPSEマークの有無は必須条件で、これがない製品は安全基準を満たしていません。
また、温度管理や出力制御といった保護機能が搭載されているかどうかは、使用中の異常発火を防ぐためにとても重要です。
高品質なバッテリーは価格が多少高くても、安全性・耐久性・保護機能の面で優れているため、結果的に長く安全に使うことができます。
「安さ」ではなく「安全性」を基準に選ぶことが、火災リスクを最も減らす方法といえるでしょう。
モバイルバッテリーから発火したら?身を守るための対処法

モバイルバッテリーが発火した場合、数秒〜数十秒の間に一気に炎が立ち上がることがあり、非常に危険です。
リチウムイオン電池の炎は勢いが強く、煙も多いため、まずは「自分の安全を確保すること」を最優先にしてください。
無理に近づいたり、素手で触れたりすると、爆ぜた金属片や高熱で大きなケガにつながる可能性があります。
落ち着いて、以下の手順で行動してください。
- まず自分の身を守る(距離を取る)
バッテリーが破裂したり、金属片が飛び散ったりすることがあります。1〜2m程度離れて安全を確保します。 - 可能であれば大量の水で消火する
リチウムイオン電池は水に弱いため、水を大量にかけ続けることが最も有効な消火方法とされています。※少量の水では逆効果になることもあるため、「大量の水」を継続的にかけ続けることが重要です。 - 室内の場合は窓を開け、煙を吸わないように注意
煙には有害成分が含まれる可能性があるため、姿勢を低くしながら退避してください。 - 消火が難しい場合はすぐに避難して119番通報
自力での消火が難しい場合は、すぐに消防へ通報してください。燃えているまま放置すると周囲に延焼する危険があります。 - 発火したバッテリーを絶対に触らない・片付けない
火が消えても内部が高温のため再発火するおそれがあります。消防や専門業者に処理を依頼しましょう。
モバイルバッテリーの発火は急激に進行するため、その場での判断が難しいケースも多いです。迷ったらまず避難し、消防へ連絡することが最も安全な対応です。
モバイルバッテリー火災が起きてしまったあとにすべきこと

モバイルバッテリーが原因の火災は一見小規模に見えても、焦げ跡や煙による汚染が広範囲に及ぶことがあり、放置すると健康被害や悪臭の残留につながります。
そのため、火が完全に消えたあとも、以下の手順に沿って適切に対処することが大切です。
- 火災後の手続きをする
- メーカーへ連絡する
- 家の清掃・消臭を行う
それぞれの手順について、詳しく見ていきましょう。
火災後の手続きをする
モバイルバッテリー火災が発生した場合、たとえ部分的な焼損であっても、事故後に行うべき手続きはいくつかあります。
手続きを後回しにすると保険金が受け取れなかったり、原因調査が進まなかったりすることもあるため、できるだけ早めに対応しましょう。
火災後に必要な主な手続きは、以下のとおりです。
- 火災保険会社への連絡
火災状況・被害の範囲・原因などを伝え、保険適用の可否を確認します。調査員が来る場合もあるため、現場を片づける前に必ず連絡しましょう。 - 消防署への通報と罹災証明書の取得
火災保険や自治体の支援を受ける際に必要になります。消防署で発行してもらいましょう。 - 警察への通報と事故確認(必要な場合)
不審火・事故原因が不明な場合、警察が現場確認を行うことがあります。 - 賃貸物件の場合は管理会社・大家へ報告
原状回復の範囲や火災保険の適用範囲などを確認しておきましょう。 - 損害の記録(写真・動画の撮影)
保険請求の際、被害状況の記録が非常に重要になります。片付け前に必ず残しておきましょう。 - 近所へのお詫び
火災を起こしたことについてお詫びをしておくと、今後の関係性への影響を最低限に抑えられます。 - ライフラインの停止(必要な場合)
同じ家に住めない場合など、必要に応じて電気・ガス・水道などのライフラインを停止しましょう。
小さな火災でも、後々のトラブルを避けるためには手続きを正しく進めることが不可欠です。
特に保険会社への連絡と罹災証明書の取得は、できるだけ早めに済ませましょう。
メーカーへ連絡する
モバイルバッテリーが原因で発火した場合は、必ず製造元のメーカーへ連絡しましょう。
火災の原因が製品不良によるものなのか、使用環境によるものなのかを確認するうえで、メーカーの調査は欠かせません。
事故報告を受けたメーカーは、状況のヒアリングや製品の回収調査を行い、同一ロットに不良がないかの確認や、必要に応じてリコールの判断を行います。
実際に、近年はモバイルバッテリーのリコールが増加しており、2025年にもAnkerが「Anker PowerCore 10000」を自主回収しています。原因は内部セルの不具合で、発煙のおそれがあるとして自主回収が実施されました。
なお、メーカーへ連絡する際は、以下の情報をまとめておくとスムーズです。
- 製品名・型番・購入時期
- 発火した日時・状況(充電中、持ち歩き中など)
- 発火時の写真や動画(可能であれば)
- 製品本体の状態(膨張・破損・焦げなど)
発火したバッテリーを無理に触る必要はありませんが、メーカーによっては事故調査のため回収をお願いされるケースがあります。その際は消防や保険会社の確認後に対応しましょう。
家の清掃・消臭を行う
モバイルバッテリーが発火すると、煤汚れ・有害ガス・焦げ臭などが室内に残ります。
見た目以上に汚染範囲が広がっているケースが多いため、早めの清掃と消臭が必要です。
特にリチウムイオン電池の発火では、プラスチックや電解液が燃えることで独特の刺激臭が発生し、放置すると壁紙や家具に臭いが染みついてしまいます。
まずは部屋全体をしっかり換気し、窓やドアを開放して煙を外へ逃がしましょう。
焦げ跡や煤が付着している箇所は、乾いた雑巾でこすらず、中性洗剤を薄めた溶液で軽く拭き取るのがポイントです。
また、カーテンや布類は臭いが染み込みやすいため、できる限り丸洗いまたはクリーニングに出すことをおすすめします。
なお、被害が大きい場合は、専門の清掃業者に依頼することも検討しましょう。特に以下のような状況ではプロの介入が効果的です。
- 壁一面に煤が付着している
- 火災の臭いが数日経っても消えない
- カーペットやソファに黒い汚れが沈着している
火災直後は気が動転しやすいものですが、快適な生活を取り戻すためにも、清掃・消臭をしっかり行いましょう。
モバイルバッテリー火災による煤や臭いの除去ならブルークリーンへご相談を!

モバイルバッテリー火災のあとの煤汚れや臭いでお悩みなら、ブルークリーンへご相談ください。
モバイルバッテリー火災では、リチウムイオン電池の燃焼によって微細な煤や有害ガス成分が室内に広がるため、通常の掃除だけでは除去しきれないケースも少なくありません。
特に電池内部の化学物質が燃えた際に発生する臭気は、壁紙・床材・天井材の奥まで浸透するため、放置すると長期的な残臭につながります。
ブルークリーンでは、こうした火災特有の汚染に対し、専門的な技術を用いた徹底的な清掃・消臭が可能です。
- HEPAフィルター搭載機器で微粒子を徹底回収
リチウムイオン電池の燃焼で生じる超微粒子を確実に除去します。 - 高照度LEDライトで汚染範囲を可視化
警察鑑識でも使用されるライトで、目に見えない煤汚れを特定します。 - 専用薬剤 × 空間制御 × 専門清掃による独自復旧プロセス
建材内部に入り込んだ臭いまで分解し、再発を防止します。 - 徹底した事前調査・測定を実施
臭気レベルを科学的に測定し、最適な施工内容を提案します。
火災後の臭いや煤汚れは、早期対処が復旧のカギです。
「自分で掃除しても臭いが消えない」「家族に健康影響がないか心配」という方は、ぜひブルークリーンへご相談ください。
専門スタッフが状況を丁寧に調査し、最適な解決策をご提案させていただきます。
モバイルバッテリーの火災事例

モバイルバッテリーを原因とする火災は年々増加しており、住宅・宿泊施設・オフィスなど、私たちの生活空間で実際に発生しています。
ここでは、実際に発生したモバイルバッテリー火災の代表的な事例として、京都のホテルでの発火事故と東京都マンションでの発火事故を紹介します。
どちらのケースも、私たちの身近な環境で起こり得るものです。自宅や職場でも同じリスクが潜んでいる可能性があるため、事例を参考にしながら火災への対策を検討しましょう。
京都のホテルでモバイルバッテリーから発火した事例
京都では2025年10月、京都駅近くの大型ホテルでモバイルバッテリーが突然燃え上がる事故が発生しました。
深夜に客室内に置かれていたバッテリーと机が激しく燃え、火災報知器が作動。館内には警告アナウンスが響き、宿泊客約1,400人が避難する騒ぎとなりました。
消防の調査によれば、使用されていたのは海外メーカー製のモバイルバッテリーで、現地基準は満たしていたとされるものの、製品の特定には至りませんでした。
この事故は、ネット通販の普及によって品質の担保が不十分な製品が出回っていること、そして安全基準を満たした製品であっても発火のリスクがゼロではないことを示す事例といえます。
【参考】相次ぐモバイルバッテリーの発火 粗悪品を抑え込めるか アンカーも52万台自主回収|産経新聞
東京都のマンションでモバイルバッテリーから発火した事例
2025年9月、東京都杉並区のマンションでモバイルバッテリーが原因とみられる火災が発生しました。
出火したのは5階建てマンションの2階の一室で、約20㎡が焼損。深夜1時50分ごろ、住人から「モバイルバッテリーが爆発して火が出た」と119番通報があり、消防が駆けつけました。
火はほどなく消し止められたものの、10代女性を含む6人が煙を吸い病院へ搬送されています。
女性は「スマートフォンを充電しながら寝ていたところ、『ボン』という破裂音がして炎が見えた」と証言。就寝中の充電や布団・可燃物の近くでの使用が危険であることを示す事例といえるでしょう。
【参考】モバイルバッテリーから出火か 充電しながら就寝中、6人軽傷―警視庁|時事通信社
モバイルバッテリー火災に関するよくある質問
最後に、モバイルバッテリー火災に関するよくある質問とその回答を紹介します。似たような疑問をお持ちの方は、ここで解消しておきましょう。
モバイルバッテリーの処分方法は?
モバイルバッテリーの処分方法は、以下のとおりです。
- モバイルバッテリーのメーカーがJBRCの会員か確認する
メーカーがJBRCの会員かつ、条件を満たす場合は家電量販店などで回収してもらえます。 - 電池類として自治体に回収してもらう
一部の自治体では、モバイルバッテリーを電池類のごみとして収集してもらえます。各自治体のホームページで回収対象を確認してみましょう。 - メーカーに回収してもらう
メーカーによってはモバイルバッテリーの自主回収を行っています。メーカーホームページで回収を行っているか調べてみましょう。 - 不用品回収業者に回収してもらう
不用品回収業者ではモバイルバッテリーを含むさまざまな不用品を回収しています。場合によっては無料回収も可能なので、ネットで業者を探してみましょう。
なお、処分する際は充電量がゼロの状態にすることが大切です。また、端子部分には絶縁テープを貼るなどしてショートが起こるのを防ぎましょう。
モバイルバッテリーを回収しているメーカーは?
モバイルバッテリーの中には、製品構造上の不具合や事故などによって自主回収されているものも多くあります。
直近では、2025年に大手メーカーのAnkerでもモバイルバッテリーの自主回収が実施されました。
なお、経済産業省の「製品安全ガイド」では、最新のリコール対象製品を確認可能です。
手元にあるモバイルバッテリーが回収対象か知りたい方は、以下のページをチェックしてみましょう。
【参考】リコール情報|製品安全ガイド
まとめ
モバイルバッテリーは便利なアイテムである一方、リチウムイオン電池の性質上、扱い方を誤ると発火・発煙事故につながる危険な製品でもあります。
特に、就寝中の充電や高温環境での放置、衝撃による内部損傷は事故の大きな要因となります。
万が一発火した場合は、まず身の安全を確保し、可能であれば大量の水で消火したうえで消防へ連絡してください。
また、火災後はメーカーへの報告や保険・行政手続きに加え、煤や焦げ臭さが残る場合は専門業者による消臭・清掃が必要です。
正しい使い方と早めの買い替えを心がけ、安全にモバイルバッテリーを活用しましょう。







