1.火災復旧のご依頼背景は?
今回ご相談をいただいたのは、神奈川県横浜市にある団地の一室で発生した火災による復旧対応です。
火元となった部屋では、火災による損傷が激しかったため、罹災物の撤去と内装の解体がすでに実施されていました。
しかし、構造躯体(壁面や天井、床下)には広範囲にわたって煤(すす)が付着しており、これが新たな内装工事を行う上で大きな障害となっていました。
施工を予定していた内装業者も「このままでは施工できない」と判断し、関係者の間で対応に悩む状況が続いていたそうです。
そんな中、関係先の不動産会社から弊社ブルークリーンにご相談をいただき、「建物の構造部分に残る煤を適切に除去し、安全に再工事が行える状態に整えてほしい」とのご依頼を受けました。
団地という共同住宅特有の管理上の配慮も必要とされる案件でしたが、私たちは火災復旧のプロとして、最適な施工環境を整備するため現地調査と提案を進めることになりました。
関連記事:火災後の片付け・清掃方法と費用対策を解説!正しい業者選びのコツとは?【火災復旧】
2.火災復旧する箇所は?部屋の状況について
今回のご依頼では、火元の部屋はすでに解体済みで、内装材はすべて撤去されていました。
しかし室内のコンクリート躯体には、火災時に発生した煤や煙成分が広範囲にわたり付着しており、目に見える黒ずみだけでなく、鼻を刺激するような残留臭気が充満していました。
この臭気は、単なる焦げ臭ではなく、煙中に含まれるアルデヒド類やフェノール系物質などが再凝縮・吸着したものと考えられます。
こうした残留臭は、時間の経過とともに建材に浸透し、再揮発によって空間内に再度拡散するリスクもあるため、見た目以上に注意が必要です。
さらに、このような煤は、無造作に拭いたり刷毛で払ったりすると、微粒子が空気中に舞い上がって室内全体に再付着してしまいます。
今回は特に、建材のない“むき出しの構造体”を対象とした繊細な煤除去が求められた案件でした。
ブルークリーンでは、再飛散を防ぎながら臭気の根源を断つための「分解除去」と「除染クリーニング」の両輪で施工計画を立て、後続の内装工事が安心して進められるよう、環境を整備していきました。
3.ご提案した火災復旧の内容について
すでに罹災物や内装は解体済みだったため、コンクリート躯体にこびりついた煤汚れと、空気中に残留する化学臭・有機物質への対応が求められました。
とくに、煤が再び舞い上がることで近隣住戸へ影響を及ぼすリスクや、リフォーム後の新内装に悪影響を及ぼす懸念もあり、慎重かつ多層的な施工工程が必要でした。
ブルークリーンでは、以下のような手順で建材保全と空気環境改善の両立を図るご提案を行いました。
ドライクリーニング作業(煤の初期除去) | 粉状の煤を空気中に飛散させないよう、乾式で除塵処理を実施。 |
---|---|
表面研磨作業(コンクリート躯体の処理) | 煤が染み込んだコンクリート表層を研磨し、汚染層ごと削り取ることで物理的に除去。 |
表面洗浄作業(アルカリ電解水による洗浄) | 残留した微細な煤粒子や、臭気原因物質を科学的に分解するための湿式洗浄。 |
有機物質の分解除去(ダイオキシン・VOC対策) | 火災によって生成される有害物質(ダイオキシン・フェノール類など)を想定し、専用分解剤を用いて1日かけて処理。 |
これらの工程はすべて、将来的な内装再施工に影響を及ぼさないよう、建材への侵襲を最小限に抑えながら、臭気・有害物質の根本除去を実現するための復旧設計です。
単なる清掃ではなく、「工事前の下地環境を整える」ことを目的とした、火災復旧専門会社としての技術対応をご提案しました。
関連記事:火事による家の煤汚れの効果的な落とし方をご紹介!注意点も解説!
4.なぜブルークリーンが選ばれたのか?~火災復旧における“信頼と技術”の総合力~
本件のご相談は、管理会社・解体指定業者・内装施工業者と複数の関係者が関わる中で、「現場を確実に任せられる専門会社」としてブルークリーンに声がかかったものでした。
焦点となったのは、単に煤を取り除くだけではなく、臭気や有機物質を含めた“火災の本質的な後処理”を誰が担うのかという点。
私たちは、建材・空気環境・作業安全性のすべてにおいて「再建できる状態」までを定義する復旧設計を行い、その実行まで一貫して担います。
このような信頼の背景には、技術者一人ひとりの専門性と、それを裏づける科学的根拠に基づいた施工体制があります。
さらにブルークリーンでは2023年11月、国際的な清掃認証機関「IICRC(Institute of Inspection Cleaning and Restoration Certification)」が認定する「Fire and Smoke Restoration Technician(火災・煙損復旧技術者)」資格取得のため技術者をアメリカに派遣しました。
これは、火災によって発生する煙・煤・有害残留物の除去技術や、臭気分解・建材保護のための復旧理論を国際水準で学ぶ専門資格であり、単なる経験則ではなく、科学的根拠と作業標準に基づいた施工を可能にします。
※写真:IICRC「Fire and Smoke Restoration Technician」研修時の様子。当時のブルークリーン技術者(左:藤原未波、右:永井宏)、中央は現地職員。
今後もブルークリーンは、火災復旧という専門領域において、現場対応力・調査力・復旧設計力の三位一体を磨き続けてまいります。
お困りの際は、安心してご相談ください。