1.ご依頼の背景と経緯
神奈川県川崎市川崎区のアパートを所有する大家様より、孤独死発生に伴う緊急対応のご依頼をいただきました。
警察による現場確認が完了し事件性なしと判断された直後のご連絡で、「今後この部屋を貸し出すかどうかもまだわからないが、虫が下の階まで発生しているため今すぐ何とかしてほしい」というご要望でした。
現場を確認したところ、OPIM(体液・分泌物などの人体由来汚染物質)の量が非常に多く、畳への大量浸透と衛生害虫の発生が同時に起きている状態でした。
今後の利用方針が未定である以上、原状回復を前提とした消臭・遺品整理まで踏み込むのは時期尚早と判断し、「虫とOPIMを封じ込める」ことに特化した応急処置をご提案しました。
2.施工前の現場状態
間取り1K(和室)。畳3枚にわたってOPIMの大量浸透が確認されました。
和室の畳はござ表面だけでなく内部の芯材まで液体を吸収する構造のため、OPIMが深部まで染み込んでおり、拭き取りや市販消毒薬では対応不可能な状態でした。
同様の畳への深部浸透は大田区の孤独死事例でも確認されています。
さらに、OPIMを栄養源として繁殖した衛生害虫がすでに下階へ拡散しており、建物全体への波及が差し迫っている状況でした。
遺品・家財は室内に残存していましたが、今回は衛生緊急対応を優先し、残置物の撤去・消臭は後日対応として切り離しました。
3.実施した作業内容
汚染拡大を防ぐための区域分け(ゾーニング)を最初に実施し、汚染エリアの動線を遮断した上で以下を実施しました。
| 区域分け(ゾーニング) | 汚染エリアと非汚染エリアを隔離し、室外への汚染再拡散を防止 |
|---|---|
| OPIM除去・洗浄 | 畳表面および芯材に浸透した体液・分泌物を除去 |
| 畳の撤去・搬出(3枚) | 内部浸透が確認された畳を漏れ・飛散防止のため梱包・分解処理の上搬出 |
| 布団の搬出 | 同様にOPIM汚染が確認された布団を梱包・搬出 |
| 衛生害虫の抑制処理 | 下階まで拡散した害虫に対し、繁殖抑制効果を持つ専用薬剤を噴霧 |
| 浮遊粉じんの抑制処理 | 作業中に空気中へ舞い上がるOPIM由来の微粒子を抑制し、吸入リスクを低減 |
| 作業員の感染防止 | 全スタッフが体液・病原体接触を遮断する専用保護具を着用 |
消臭および残置物撤去は、遺族との調整後に改めて対応する方針としました。こうした段階的な対応設計は、弊社が独自に体系化したバイオリカバリーメソッドに基づいています。
4.まとめとご依頼者さまの反応
今回のポイントは、大家様の「今後貸し出すかどうかもわからない」という意向を正確に受け止め、原状回復を前提としない応急処置に作業を絞ったことです。
消臭・残置物撤去まで一括提案せず、衛生緊急性の高いOPIM除去と害虫抑制のみに限定したことで、不必要なコストをかけずに建物全体への被害拡大を防ぐことができました。
施工後、大家様からは「すぐ動いてもらえて助かりました」とのお言葉をいただきました。
ブルークリーンでは、依頼者の状況と意向を踏まえた上で「今すべき処置」と「後でよい処置」を明確に切り分け、最適な対応設計をご提案しています。
特殊清掃が必要な状況に直面された際は、まずはブルークリーンにご相談ください。
5.この案件で大家様に聞かれたこと
Q. 家族と連絡が取れていない状態でも、大家として清掃を依頼してよいのでしょうか?
A. はい、問題ありません。建物の所有者として衛生リスクや近隣への影響を防ぐ目的での初動処置は、大家様の判断で依頼いただけます。遺品の処分は遺族の同意が必要ですが、汚染除去・害虫対応はその対象には含まれません。
Q. 今後貸し出すかどうか決まっていないのに、清掃だけ先に頼んでも意味がありますか?
A. むしろ早期対応が重要です。OPIMや衛生害虫を放置すると建材への浸透が進み、後から対応するほど工事範囲と費用が拡大します。今回のように「応急処置のみ」に絞った対応も可能ですので、まず衛生リスクだけ封じ込めておくことをお勧めします。
Q. 下の階にも虫が出ているのですが、その部屋も清掃が必要ですか?
A. 発生源となっている部屋の処置が完了すれば、下階の害虫は自然に収束するケースがほとんどです。ただし状況によっては下階への薬剤処置が必要になる場合もありますので、現地確認の上でご案内しています。





