「住んでいるエリアの浸水リスクが高いと知って不安になっている…」
「最近ゲリラ豪雨が多いので、浸水対策をしておきたい」
このような心配を抱えて、床下浸水への対策方法を調べている方は多いのではないでしょうか。
気象庁によると、近年は大雨の発生回数が増加傾向にあり、地域によっては年に数回起こる大雨で毎回床下まで水が入りこんでしまう状況が起きています。
床下浸水は、家の中まで水が上がってくることはないものの、木材の腐食・断熱材の劣化・カビや白蟻の発生など、住まいの寿命に影響するトラブルへ直結します。そのため、事前に対策をしておくことが非常に大切です。
この記事では、今すぐできる床下浸水対策と題して、日常的な予防、災害時の土のう・水のう・止水板の使い方、そして浸水後の正しい対処法までわかりやすく解説します。
家を守るために今日からできることを、ぜひ取り入れてみてください。
- 日ごろからできる床下浸水対策
- 水害時に役立つ土のうや水のうの設置方法
- おすすめの床下浸水対策グッズ
浸水対策の重要性
近年、日本における浸水対策の重要性が増しています。
気象庁によると、1年間で1時間の降水量50mm以上の大雨が発生する回数は、1976年~1985年では平均226回だったものの、2015年から2024年には平均334回まで増加。過去に比べて大雨の発生回数が1.5倍になっており、その分水害の被害も増えています。

実際、2022年時点の全市区町村数1741に対し、2013年~2022年の間に水害・土砂災害の発生件数が0件だった市町村はわずか51と、約3%にとどまっています。
これは、約10年間の間で日本にある約97%もの市区町村で何らかの水害・土砂災害が起きているということです。
つまり、「これまで何もなかったから対策しなくても大丈夫だろう」という油断は禁物であり、全国的に見ても浸水対策の重要性が高まっているといえるでしょう。
日頃からできる床下浸水対策

床下浸水は、台風や豪雨が直撃したときだけに発生するものではありません。
排水口の詰まりや敷地まわりの勾配、水はけの悪さなど、日常の小さな要因が積み重なることで、わずかな雨でも床下へ水が入り込みやすくなります。
だからこそ、特別な装備を用意しなくても取り組める日常メンテナンスがとても重要です。
ここでは、今日から始められる3つの基本的な床下浸水対策を紹介します。
雨水ますに溜まったゴミを掃除する
日常的な床下浸水対策として行いたいのが、雨水ますの掃除です。落ち葉・砂・泥などのゴミが溜まっていたら、定期的に取り除き、水が流れるようにしておきましょう。
雨水ますは、敷地に降った雨を地中へ流すための重要な設備です。
しかし、ゴミによって詰まりが起こると雨水が行き場を失い、家の基礎まわりに水が溢れやすくなります。
特に豪雨時は短時間で水量が増えるため、雨水ますが正常に機能していないと、床下へ水が入り込む原因になりかねません。
特に秋の落ち葉シーズンや梅雨の前は必ず点検しておきましょう。
土のうや水のうを準備しておく
床下浸水に備えるためには、平常時から土のう・水のうを準備しておくことが大切です。
土のうはホームセンターやネットショップで入手できるため、10〜20袋程度ストックしておくとよいでしょう。
袋のサイズは一般的な「48cm×62cm」程度のものが扱いやすく、積み上げた際の安定感も確保できます。保管の際は湿気を避け、袋の劣化を防ぐため屋内や物置に置いておくのがおすすめです。
なお、土のうを保管する場所がない場合は、地域に設置された土のうステーションの場所を確認しておきましょう。

土のうステーションには常に土のうが設置されているので、必要なときに無料で利用することが可能です。
一方、水のうは土を入れる手間がなく、45Lゴミ袋や専用の水のう袋で簡単に作れるのが魅力です。平時に袋だけ準備しておけば、豪雨が近づいたときに水を入れるだけで重しとして使うことができます。
玄関収納や外物置の上段など、家族全員が把握できる場所で保管すれば、いざという時の対応もスムーズになるでしょう。
止水板を備え付けておく
止水板(止水パネル)は、玄関や勝手口、車庫の出入口など「水が入りやすい開口部」を物理的に塞ぐための防水アイテムです。
近年は家庭向けの簡易タイプも増えており、工具不要で取り付けられる商品も多いです。
特に平屋や基礎が低い住宅、周囲より土地が低い立地の場合は、止水板があるかどうかで浸水リスクが大きく変わります。
止水板を購入する際は、玄関や入口に合ったサイズを選ぶほか、設置方法についても確認しておきましょう。
水害時の床下浸水対策|土のうや水のう、止水板の使い方は?

台風接近や線状降水帯の発生により「数時間以内に浸水のおそれがある」という状況になると、事前に備えていた土のう・水のう・止水板を“どこに・どの順番で”設置するかが被害を大きく左右します。
焦って誤った位置に設置してしまうと、せっかく準備した防水グッズが十分な効果を発揮しない場合もあるので注意しましょう。
そこでここからは、実際に水害が迫っている場面を想定し、土のうや水のう、止水板を「どこに置くべきか」「どう積むべきか」「どんな順序で設置するか」などをわかりやすく解説します。
土のうの設置場所と積み方
土のうは、水が最も入りやすい場所に設置します。
特に、玄関・勝手口・基礎の通気口・1階の高さがない窓際などは、床下へ直接水が流れ込みやすいため、優先して土のうを積みましょう。
- 1段目は袋の口を内側に折りたたみ、口側が建物に向くように平らに寝かせて並べる
- 可能なら1段目と2段目の間に滑り止めの土砂利を撒く
- 2段目はレンガを積むように、半分横にずらして積む
- 水の流れを防ぐため、外側へ軽く押しつけて密着させる
- 積む高さは最低2段、可能なら3段が基本
なお、大量の水が勢いよく押し寄せると土のうがずれる場合があります。そのため、1段目は3列・2段目は2列、3段目は1列のように、奥行きを作って積み上げると効果的です。
また、1列で2段のように奥行きがない場合は、土のうの後ろに重し(植木鉢・レンガなど)を置くとよいでしょう。
水のうの作り方と使い方
水のうは、土を使わずに水の重さで浸水を防ぐ即席の止水グッズです。土のうよりも準備が簡単で、45L ゴミ袋や専用の水のう袋に水を入れるだけで作れるため、急な大雨でも短時間で対策ができます。
- 丈夫なゴミ袋を二重に重ねる
- 袋の5〜6割程度まで水を入れる
- 空気を抜き、袋の口をしっかり縛る
- 漏れがないか確認してから運ぶ
- 玄関の隙間、勝手口、基礎の通気口をふさぐように置く
- 水のう同士をぴったり密着させ、水が流れ込みそうな方向に向けて並べる
- 2段以上にする場合は、上段の水のうを軽く押しつけて安定させる
- 広い入り口は「横に並べる → 手前に追加して二重構造」にすると止水力が高い
水のうは土のうより軽いため、持ち運びや配置が簡単なのがメリットです。一方、水圧が強すぎる場面では動いてしまうこともあるため、室内の排水口や換気口などの水量が限られる場所での使用がおすすめです。
参考:身近なもので簡単にできる「水のう入り防水壁」の作りかた|取手市
止水板の設置場所と簡易止水版の作り方
止水板は、玄関や勝手口などの水が入りやすい箇所に設置するのが有効です。
- 玄関ドアまわり
- 勝手口・裏口
- ガレージや倉庫の出入口
なお、止水板が手元にない場合でも、以下のような家庭にある材料で簡易的な止水板を作ることができます。
- テーブルの天板や合板1枚
- レジャーシート
- レンガ・植木鉢・ポリタンクなど重しになるもの
作り方は以下のとおりです。
- 出入口にレジャーシートを敷く
- ドアの外側にテーブルの天板などを縦掛ける
- 天板の前後に重しを置く
- レジャーシートで前後の重しを包む
完全な防水性能はありませんが、水の勢いを弱めて侵入量を大きく減らす効果があります。特に水位が低い初期段階では十分な止水が期待できるでしょう。
おすすめの床下浸水対策グッズ3選

ここでは、おすすめの床下浸水対策グッズを3つ厳選して紹介します。いずれもネットショップで入手可能なので、いざという時のために購入を検討してみてください。
水で膨らむ「吸水土のう」
水で膨らむ「吸水土のう」は、土を使わずに水だけで膨らむため、緊急時にすぐ使えるのが最大の魅力です。
1枚あたり約400gと非常に軽いうえ、約3分〜5分水に浸すだけで15kg〜20kg相当の重さに膨らむため、従来の土のうのように土を詰める手間がありません。
サイズは40cm×60cmで、玄関・勝手口・車庫・地下室など、さまざまな浸水ポイントに設置しやすいのもメリット。特に豪雨警報が出た直後など、「今すぐ止水したい」という場面で大きく力を発揮します。
【参考】土嚢 水で膨らむ 吸水 土のう 土嚢袋 土のう袋 10枚入り
簡易型止水シート とめっぱLight|TEIJIN
TEIJINの簡易型止水シート「とめっぱ® Light」は、玄関からの浸水を素早く防げるつっぱり式の簡易型止水シートです。
工具も工事も不要で、突っ張り棒のように玄関口へ圧着するだけで、水の侵入を防ぐことができます。85cm~125cmまで対応しているので、一般的な住宅の玄関幅であれば問題なく使用可能です。
本体は繰り返し使えるため経済的で、収納しやすいスマートなデザイン。玄関に一本備えておくだけで、「もしもの浸水リスク」に対する安心感が大きく高まります。
水タンクにもなる水のう袋|旭電機化成
旭電機化成の「水タンクにもなる水のう袋」は、浸水対策と非常用飲料水タンクの両方に使える便利な多機能グッズです。
水を入れるだけで重さが出るため、玄関・車庫・通気口・敷地周りなど、浸水リスクのある場所へすぐに設置できます。家庭で簡単に堤防を作れるため、急な大雨の際もすぐに使えるのが大きなメリットです。
また、水タンクとしては1袋で4日分の水(約8〜10L相当、1人分)を備蓄できるのもうれしいポイント。
浸水対策と備蓄の両方に使えるため、「家の防災アイテムを最小限にまとめたい」という家庭に特におすすめです。
【参考】【ABO-2907】水タンクにもなる水のう袋 7枚入|旭電機化成
床下浸水してしまったら?家を守るための対処法

床下浸水が起きた直後は、見た目以上に家の内部でダメージが進行している可能性があります。
また、床下は湿気がこもりやすく、放置するとカビ・悪臭・木材腐食・シロアリ被害へつながるため、できるだけ早く適切な処置を行うことが重要です。
ここでは、浸水後に必ず実施すべき基本的な対処法を紹介します。
- 感電の危険があるため、まずはブレーカーを落とす
- 床下点検口を開け、水位・泥の量・臭い・湿度の状況を確認
- バケツや排水ポンプなどを使い、床下に溜まった水を排出
- 泥や汚れが残っている場合は、スコップや雑巾で取り除く
- 真水を散布して床下を洗浄する
- 床下の換気を十分に行い、送風機や除湿機で乾燥する
- 専用の薬剤を散布して床下を消毒する
なお、床下は狭くて作業がしにくく、完全乾燥までに時間がかかるため、専門業者に依頼して早期に処置する方が安全・確実です。
特に、乾燥・消毒は専門的な機器や薬剤が必要になるため、個人で行うのは困難でしょう。
床下浸水後の対処については、以下の記事でも詳しく解説しているので、気になる方はぜひ参考にしてください。
床下浸水でお困りならブルークリーンへご相談を

床下浸水でお困りなら、特殊清掃のプロフェッショナルであるブルークリーンへご相談ください。
ブルークリーンでは、以下のような床下浸水の処理で必要な工程を一括で対応しています。
- 排水・泥の除去
- 床下洗浄・消毒
- 送風乾燥・除湿
- カビ・ニオイ対策
現場状況を丁寧に調査し、被害の程度に応じた最適な復旧プランを提案するため、「どこまで作業すべきかわからない」という方でも安心です。
さらに、火災保険や自治体支援の利用可否についてもアドバイス可能。手続きに不慣れな方でも、負担を最小限に抑えながら復旧を進められます。
「床下の状態が気になる」
「カビのニオイがする」
「浸水後どうしていいかわからない」
そんなときは、一人で抱え込まずにブルークリーンへご相談ください。経験豊富なスタッフが、いち早い復旧に向けて徹底的にサポートさせていただきます。
床下浸水後に放置するリスク
床下浸水をそのまま放置すると、見えない場所で被害がどんどん進行してしまいます。
ここでは、床下浸水を放置した場合に起こり得る主なリスクをまとめました。
- カビの大量発生
床下の湿気と汚れはカビの温床になり、室内の空気環境を悪化させる。アレルギーや喘息など健康被害につながるおそれも。 - 木材の腐朽
構造材が長期間湿った状態になると腐朽菌が繁殖し、家の耐久性が低下する。放置すると補修費用が高額になる可能性も。 - シロアリ被害の発生
湿った木材を好むシロアリが寄り付きやすくなり、基礎や柱への被害を招く危険が高まる。 - 悪臭・雑菌の繁殖
泥水や汚水には多くの雑菌が含まれ、乾燥が不十分だと悪臭が床上まで広がる。消臭や除菌に追加費用が必要になることも。 - 断熱材の劣化・性能低下
濡れた断熱材は乾きにくく、カビや腐敗が起きやすい。断熱性能が落ち、光熱費の増加につながる可能性も。
床下は普段見えない分、「気づいたときには深刻化していた」というケースが非常に多い場所です。
浸水後は放置せず、専門業者へ対処を依頼することが住まいを守る最も確実な方法です。
【関連記事】
床下の水漏れを放置するとどうなる?リスクや対処方法を徹底解説!
床下浸水対策に関するよくある質問
床下浸水は、対策が必要と分かっていても「どこから始めればいいのか」「自宅の場合はどう備えればいいのか」と悩む方が多いものです。
ここでは、浸水対策を検討している方からよく寄せられる疑問を取り上げ、実際に役立つ実践的なポイントを分かりやすく解説します。
通気口の床下浸水対策は?
床下の通気口は、家の湿気を逃がす大切な部分ですが、水害時には浸水しやすい弱点になります。
通気口の対策として有効なのが、通気口専用の止水グッズを活用する方法です。例えば以下の商品のように、通気口に合わせて簡単に設置できるものがあります。
また、簡易的な方法として、水害時には水のうを通気口前に積むことで一時的に浸水を抑えることも可能です。
床下浸水に保険は適用される?
床下浸水は、火災保険では基本的に補償対象外となるケースが多いのが実情です。
多くの保険会社では、水災補償の支払い条件として「床上浸水」または「地盤面から45cm以上の浸水」など、一定以上の被害レベルを基準としているため、床下浸水のみでは対象になりません。
ただし、契約の内容によっては一部の費用が補償対象となる可能性もあるので、一度保険会社へ確認してみるのがおすすめです。
【関連記事】
床下浸水では火災保険金が出ない?補償金をもらえる方法はあります!
まとめ
床下浸水は、近年増えている局地的豪雨や台風の影響により、どの家庭でも起こりうるリスクといえます。
そのため、「発生してから対応する」のではなく「事前に備える」ことが家を守るうえで何より重要です。
本記事で紹介したように、日頃からの清掃・排水設備の確認、土のう・水のう・止水板といった防水グッズの準備、そして水害発生時の適切な設置方法を理解しておくことで、浸水被害を大きく減らせる可能性があります。
浸水対策は、今日からできる小さな備えの積み重ねです。ぜひ本記事を参考に、住まいの安全性を高め、安心して暮らせる環境づくりを進めてみてください。
▶経歴
・YouTube「特殊清掃ch|すーさん」登録者5.3万人
・ペストコントロール技能師(日本ペストコントロール協会)
・IICRC認定テクニシャン(CCMT/OCT)
・Goldmorr認定テクニシャン(カビ除去スペシャリスト)
・JRES認定テクニシャン(火災水害復旧対策訓練修了)
・横浜市栄区自治体研修(「ごみ屋敷の解消と再発防止に向けた寄り添い支援」)
・これまで8年以上4,000件以上の現場(孤独死・火災・水害・ゴミ屋敷・遺品整理など)に携わる
▶メディア出演
・「ABEMA 変わる報道番組 #アベプラ【公式】」ABEMA
・「日刊SPA!」定期連載中
・「bizSPA!フレッシュ」
・「スタジオパーソル」単独取材
・「田村淳の地上波ではダメ!絶対!」BSスカパー
・「Channel恐怖」Amazon prime video







